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帳場格子
「帳場格子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
帳場格子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
う。中元の進物の差図《さしず》をする。――その合間には、じれったそうな顔をして、
帳場格子の上にある時計の針ばかり気にしていました。
そう云う苦しい思いをして、....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
日三日と日がたって行った。お島は頭髪《あたま》を丸髷《まるまげ》に結って、少しは
帳場格子のなかに坐ることにも馴れて来たが、鶴さんはどうかすると自転車で乗出して、....
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
ろ上品な気分を客に起させるようにできていた。高座《こうざ》の右側《みぎわき》には
帳場格子《ちょうばごうし》のような仕切《しきり》を二方に立て廻して、その中に定連....
「夢十夜」より 著者:夏目漱石
子である。鏡には自分の顔が立派に映った。顔の後《うしろ》には窓が見えた。それから
帳場格子《ちょうばごうし》が斜《はす》に見えた。格子の中には人がいなかった。窓の....
「家霊」より 著者:岡本かの子
。客からとった勘定もここへ載せる。それ等を見張ったり受取るために窓の内側に斜めに
帳場格子を控えて永らく女主人の母親の白い顔が見えた。今は娘のくめ子の小麦色の顔が....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
屋町のあたりは静かな時だ。正香らが店の入り口の腰高な障子をあけて訪れると、左方の
帳場格子のところにただ一人留守居顔な亭主を見つけた。ここでも家のものや店員は皆、....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
ら請け合って桝新のお釜を興しますと、小汚い歯齦に泡を溜めて説き勧めた。 新吉は
帳場格子の前のところに腰かけて、何やらもの足りなそうな顔をして聴いていたが、「じ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
留らなかったが、見馴れるにつれて、思いのほか奥行きのあることも知れて来た。幽暗い
帳場格子のなかで、算盤をはじいている四十ばかりの内儀さんも、そんなに田舎くさくは....
「銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
震災前までだいたい昔の姿で残っていたのに今ではそれすら影もなくなってしまい、昔|
帳場格子からながめた向かいの下駄屋さんもどうなったか、今|三越のすぐ隣にあるのが....
「蠅供養」より 著者:田中貢太郎
れにしてもあまり早すぎるのであった。 九兵衛は手を動かして蠅を追った。蠅は前の
帳場格子の上に往って手足を動かしはじめた。其処は京の寺町通り松原下町にある飾屋で....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
寸|目配《めくば》せをして、つと扉を押した。周平は黙って彼の後に随った。 奥の
帳場格子の向うに、どんなことがあっても没表情な顔をくずさない主婦《おかみ》さんが....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
一のもとへ輿入ることになっていた。今夜も彼女は新婚の日の楽しさを胸に描きながら、
帳場格子の中で帳面を調べている父親の横へ坐り、縫い物の針を動かしていた。結い立て....
「おせん」より 著者:邦枝完二
あった。 橘屋の若旦那徳太郎も、この例に漏れず、日に一|度は、判で捺したように
帳場格子の中から消えて、目指すは谷中の笠森様、赤い鳥居のそれならで、赤い襟からす....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、新版、絵草紙、花骨牌などを取交ぜてならべた壇の蔭に、ただ一人居たお夏は、小さな
帳場格子の内から衝と浴衣の装で立つと斉しく、取着に箪笥のほのめく次の間の隔の葭簀....
「夏の町」より 著者:永井荷風
蠅の群《む》れを追払う元気もないようにじっとしている。運送屋の広い間口の店先には
帳場格子《ちょうばこうし》と金庫の間に若い者が算盤《そろばん》を弾《はじ》いてい....