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常客
「常客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
常客の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「古典風」より 著者:太宰治
月かかさず親元へ仕送りをつづけた。十八になって、向島の待合の下女をつとめ、そこの
常客である新派の爺さん役者をだまそうとして、かえってだまされ、恥ずかしさのあまり....
「狂言の神」より 著者:太宰治
の中のわが顔に、この世ならず深く柔和の憂色がただよい、それゆえに高雅、車夫馬丁を
常客とする悪臭ふんぷんの安食堂で、ひとり牛鍋の葱《ねぎ》をつついている男の顔は、....
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
:nchen〕 の珈琲店を思い出す。日本人の群がいつも行っている処である。そこの
常客に、稍《や》や無頼漢肌の土地の好男子の連れて来る、凄味《すごみ》掛かった別品....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
めは井筒屋のお得意であったが、借金が嵩んで敷居が高くなるに従って、かのうなぎ屋の
常客となった。しかしそこのおかみさんが吉弥を田島に取り持ったことが分ってから、ま....
「旅愁」より 著者:横光利一
よりいなかった。二人の客はそれぞれ別の客だったが、一人は前からここでよく顔を合す
常客で、他の一人は、腰かけたまま床下に俯向いていて、今にも吐きそうな苦しげな姿勢....
「遺書に就て」より 著者:渡辺温
子は悪く凝り過ぎたため却って盛らない場末の酒場の女給で、小野はそこの酔っぱらいの
常客だったのである。美代子と小野とが可なり懇意な口を叩ける程になった頃、或る晩葛....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の女房の、婀娜にたおやかなのがそっくりで、半四郎茶屋と呼ばれた引手茶屋の、大尽は
常客だったが、芸妓は小浜屋の姉妹が一の贔屓だったから、その祝宴にも真先に取持った....
「異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
他に深い理由がありはしないだろうか。兎に角中流以下のレストラントには必ず何人かの
常客がいて、毎日同じテーブルに同時間に同じ顔を見ることが出来る。私のような外国人....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
訪問客があった――美貌《びぼう》自慢の気障《きざ》な流行画家で、いつもやって来る
常客の一人だったが、大して親しいわけではなかった。ジャックリーヌは、自分がいては....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
むしろ幽霊を見るような気がした。
それらの幽霊に交じってまた、その古い客間には
常客たる数人の牧師がおり、それから数人の貴族らがいた。ベリー夫人の第一秘書役たる....
「好人物」より 著者:豊島与志雄
証の限りではない。 改めて言うまでもなく、私は高木恒夫の旧友であり、ムラサキの
常客として村上三千子の相当の信用もあるのだ。 さて、つまらない事柄は省略して、....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
の船で」 「二度ほどあれに乗りました」 児島丸の事務長の福井という人は※の店の
常客で、姉などとからかい合ったりするほど懇意な間なので、私は他所の船のような気が....
「ロウモン街の自殺ホテル」より 著者:牧逸馬
なく、当時巴里とアントワアプの間をダイヤモンドを持って始終往ったり来たりしていた
常客の一人と出来合って、結婚したのだった。この財産と、未亡人を狙って女将セレステ....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
から違った人になった。多分前の人が病気で亡くなりでもしたのであろう。又そこへ来る
常客の人々の身の上にも、それこそどんなにか、色々の変化があったことだろう。単にそ....