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常闇
「常闇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
常闇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
がたは鷲に掴まれた温《ぬく》め鳥のように宙に高く引き挙げられた。 世はむかしの
常闇《とこやみ》にかえったかと思われるばかりに真っ暗になって、大地は霹靂《はたた....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
かす》むかと疑われて程なく盾の面に黒き幕かかる。見れども見えず、聞けども聞えず、
常闇《とこやみ》の世に住む我を怪しみて「暗し、暗し」と云う。わが呼ぶ声のわれにす....
「河明り」より 著者:岡本かの子
。くれない極まって緑礬の輝きを閃かしている。物の表は永劫の真昼に白み亘り、物陰は
常闇世界の烏羽玉いろを鏤めている。土は陽炎を立たさぬまでに熟燃している。空気は焙....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
いて、軽い身顫いを覚えた。 「さようにございます。手前どもが永い間閉じ籠められた
常闇の国から抜け出して来て、久しぶりに見たのが今夜の満月でございましょう。手前ど....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
の努力の幾時代も、この世の受け得る善のまだことごとく展開し切らないうちに、永劫の
常闇の中に葬られざるを得ないと云うことを知らないとは。どんな境遇にあるにせよ、そ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
た。自然に、ほんの偶然|強ばったままの膝が、折り屈められた。だが、依然として――
常闇。 おおそうだ。伊勢の国に居られる貴い巫女――おれの姉御。あのお人が、おれを....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
。 「むむ、そうだ。」 ラザルスに言葉をかけた人たちの心では、あの三日間の死の
常闇が余りにも深刻であったので、この地上の熱や光りではとても温めることも出来ず、....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ばこそ吾が思ふ妹に逢はず死せめ」(巻十五・三七四〇)、「逢はむ日をその日と知らず
常闇にいづれの日まで吾恋ひ居らむ」(同・三七四二)などにあるように、「天地の神」....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
》をたたいて、ぶらりと当り矢の店を出て行った。
おなじ時刻に。
夜も昼もない
常闇《とこやみ》の世界。
八つ下りの陽がかんかん照りつけるのに、乾割れの来そう....
「枯菊の影」より 著者:寺田寅彦
は出来ぬ。そしていつまで経っても、死ぬと云うことは許されない。浮世の花の香もせぬ
常闇の国に永劫生きて、ただ名ばかりに生きていなければならぬかと思うと、何とも知れ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
がらの地獄のどん底をさぐり廻っていたような気がする。同時に、疑惑と不幸と絶望との
常闇の迷路をつまずき歩いている自分のすがたを、私は見守っていた。そうして私もまた....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
あっても次の瞬間にはすでに滅えてしまっている。いわゆる前方を鎖してわだかまるのは
常闇である。一刹那の光はむしろ永劫の暗黒を指示するが如くに見える。 それでも鶴....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
振うて、津々浦々に兵乱やむ時なく、家は焼かれ、人は疲れ、天も晦く、地も冥く、世は
常闇となることを祈っている。こうまで言い聞かせたら、われらの身の上も、われらの望....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
充分の電燈がある、けれど夜にも昼にも、なす仕事が絶無である、電気を消してしまえば
常闇の境となるのだ。 八十二 全く何事もせずにはいられぬから、その中の誰か彼かが....
「明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
十日、文芸協会は第一回公演を歌舞伎座に開く。狂言は「桐一葉」「ヴェニスの商人」「
常闇」。 ○十二月十一日、三代目片岡市蔵死す、五十六歳。敵役と老役を以て知らる。....