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幅広
「幅広〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幅広の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
痛い火花を飛ばせた。
しかし美貌の若者は、勿論彼の敵ではなかった。彼の振り廻す
幅広の剣は、一太刀毎《ひとたちごと》にこの若者を容赦《ようしゃ》なく死地へ追いこ....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
海道趣味を味うことができた。日本一の大原野の一角、木立の中の家|疎《まばら》に、
幅広き街路に草|生《は》えて、牛が啼く、馬が走る、自然も人間もどことなく鷹揚《お....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ロメートル、酸素では七〇キロメートルとなる。 リッターは、更に、地球を貫通する
幅広い竪穴を掘ったとしたら地球中心での気温がどれだけになるかを計算した。もちろん....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
い。…… 「ええ、これは、お客様、お麁末なことでして。」 と紺の鯉口に、おなじ
幅広の前掛けした、痩せた、色のやや青黒い、陰気だが律儀らしい、まだ三十六七ぐらい....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
が一基、大門口から仲の町にずらりと並んだ中の、一番末の街燈がある。 時々光を、
幅広く迸しらして、濶と明るくなると、燭台に引掛けた羽織の袂が、すっと映る。そのか....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
つ一つ谺に響くぞ、寂しい処へ、能くお前さん一人で来たね。」 女は乳の上へ右左、
幅広く引掛けた桃色の紐に両手を挟んで、花籃を揺直し、 「貴方、その樵夫の衆にお尋....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の梢も、近間なる柳の根も、いずれもこの水の淀んだ処で。畑一つ前途を仕切って、縦に
幅広く水気が立って、小高い礎を朦朧と上に浮かしたのは、森の下闇で、靄が余所よりも....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
化の奇を弄するも、また甚だしきに、驚かざるを得ざるなり。鼻は大にして高く、しかも
幅広に膨れたり。その尖は少しく曲み、赤く色着きて艶あり。鼻の筋通りたれば、額より....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
った。前には濃い紫と云ったけれども――肩に手を掛けたのは、近頃|流行る半コオトを
幅広に着た、横肥りのした五十|恰好。骨組の逞ましい、この女の足袋は、だふついて汚....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
の暗い提灯屋があった。髯のある親仁が、紺の筒袖を、斑々の胡粉だらけ。腰衣のような
幅広の前掛したのが、泥絵具だらけ、青や、紅や、そのまま転がったら、楽書の獅子にな....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、御写真―― よって釈然とした。紋の丸は、色も青麦である。小鳥は、雲雀である。
幅広と胸に掛けた青白の糸は、すなわち、青天と白雲を心に帯した、意気|衝天の表現な....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
年紀たけたるが、鳥居の突あたりなる黒の冠木門のいと厳しきなかにぞ住いける。 肩
幅広く、胸張りて、頬に肥肉つき、顔|丸く、色の黒き少年なりき。腕力もあり、年紀も....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
葉ずれの音、葦簀の外へまた一人、黒い衣の嫗が出て来た。 茶色の帯を前結び、肩の
幅広く、身もやや肥えて、髪はまだ黒かったが、薄さは条を揃えたばかり。生際が抜け上....
「明治十年前後」より 著者:淡島寒月
、一切の書物から離れてしまったが、それまでには、私の口からこんなことを申すのは口
幅広いことのようであるが、浮世草紙の類は、一万巻は読んでいると思う。この頃『一代....
「薬」より 著者:井上紅梅
た時、顔じゅう瘤だらけの男がいきなり入って来た。真黒の木綿著物――胸の釦を脱して
幅広の黒帯をだらしなく腰のまわりに括りつけ、入口へ来るとすぐに老栓に向ってどなっ....