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幅広い
「幅広い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幅広いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
つか私を殺してしまうきまぐれな条件があるような気がしたからであった。私はそいつの
幅広い背を見たように思った。それは新しいそして私の自尊心を傷つける空想だった。そ....
「富士」より 著者:岡本かの子
島山になっております。蜻蛉《あきつ》の形をしたこの島山の胴のまん中に、岩と岩との
幅広い断《き》れ目の溝があって、そのあわいから、わたくしは生い立たせられつつある....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
一方は扉口に、もう一つのやや広い方は、階段と向き合った蚕室に続いていて、そこにも
幅広い、手縁《てべり》りをつけた階段があり、その上方が蚕室になっていた。しかし、....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ロメートル、酸素では七〇キロメートルとなる。 リッターは、更に、地球を貫通する
幅広い竪穴を掘ったとしたら地球中心での気温がどれだけになるかを計算した。もちろん....
「食魔」より 著者:岡本かの子
すわ。」 鼈四郎は図星に嵌めたと思うと同時に、ぎくりとなった。彼はいかにふだん
幅広い口を利こうと、衷心では料理より、琴棋書画に位があって、先生と呼ばれるに相応....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
まって、種々と図の四縁を折り曲げて合わせていたが、「法水君、洒落はよしにし給え。
幅広い刃形はしているが、非常に正確な線だよ。いったいどこに、後から截った跡がある....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
程と思われる小児の姿が法水の眼に映ったのであるが、なんと意外なことには、次の瞬間
幅広い低音が唸り出した。 「へい、私はヤロフ・アヴラモヴィッチ・ルキーン。」露西....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
木屋、古本屋、万年筆屋、果物屋、支那人、大学帽……。人達は、方向のちがった二本の
幅広い調帯のように、両側を流れていた。何時迄見ていてもそれに切れ目が来ない。 ....
「火薬船」より 著者:海野十三
いるものと、全く同じことじゃ」 そういって、虎船長は大きな拳固をかため、自分の
幅広いむねを、どんとたたいた。 「じゃあ、船長……」 「まあ、聞け」と虎船長は、....
「明治十年前後」より 著者:淡島寒月
、一切の書物から離れてしまったが、それまでには、私の口からこんなことを申すのは口
幅広いことのようであるが、浮世草紙の類は、一万巻は読んでいると思う。この頃『一代....
「地上」より 著者:島田清次郎
女は寝返りを打って、彼女の右手に並んでいる同じ女達を見つめた。黄金色の太陽の光は
幅広い流れを溢れさしているのも知らずに、皆は夜の疲れで眠っているらしかった。 ....
「美音会」より 著者:佐藤垢石
いた貴公子だ。 いよいよ大隅の娘景清が始まった。聴衆鳴りを鎮めて、一心に大隅の
幅広い顔を見る。この人は一口語ると手布で口を拭う。それが愁嘆場へ行くと非常に頻繁....
「審判」より 著者:カフカフランツ
ぐ二、三歩退き、そのうえ、二人の老人は男の後ろにまわったが、男は二人の老人をその
幅広い身体でおおい隠し、その口の動きから判断するのに、遠くてよくはわからないが何....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
天国のような明るさと
深い、恐ろしい夜とが交代する。
巌石の畳み成せる深い底から
幅広い潮流をなして海は泡立つ。
その巌も海も、永遠に早い軌道の歩に
引き入れられ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
若い女たちも、実に機敏で手馴れたものである。卓の数列に向って並んで、手頃に重ねた
幅広い白紙の層を、ちょいと片端へ右の手の指を触れると、ハラハラハラハラとめくる。....