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幕切
「幕切〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幕切の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
して自分は心静かに倉地の寝床の上で刃《やいば》に伏していよう。それは自分の一生の
幕切れとしては、いちばんふさわしい行為らしい。倉地の心にもまだ自分に対する愛情は....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
んだじゃで、お稲は殊勝気に舞台じゃった。――雨に濡りょうに……折角の御見物じゃ、
幕切れだけ、ものを見しょうな。」 と言うかと思うと、唐突にどろどろと太鼓が鳴っ....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
して追尾し来るを尻目に掛けつつ「我は既に大臣となれり」と傲語したのは最も痛快なる
幕切れとして当時の青年に歓呼された。尾崎はその時学堂を愕堂と改め、三日目に帝都を....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
、ニヤニヤ笑っているところで幕になるのが、毎度のことであった。その圭さんは、この
幕切れには納りかねるものと見え、それから舞台裏のコック部屋へ入りこんで、コックの....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。伊之助の顔には涙が流れていた。 「芝居ならば、ここでチョンと柝《き》がはいる
幕切れです」と、半七老人は云った。「お此という奴はわる強情で、ずいぶん手古摺らせ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あたご》までで、団十郎の光秀はいつもの渋いところを抜きにして大芝居でした。愛宕の
幕切れに三宝を踏み砕いて、網襦袢の肌脱ぎになって、刀をかついで大見得を切った時に....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
日で、大入りの平土間のまん中ごろに坐っていたわたしは、その暑いのに苦しめられて、
幕切れまでおとなしく見物しているのにかなりの忍耐力を要したことを記憶している。「....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
を配り、何者か知りたい顔を、捜し出そうとするような、素振りを続けていた。そして、
幕切れ近くなると、王妃との対話中いきなり正面を切って、 「僕は得手勝手な感覚で、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
を大きくうねくらせながら、縦の波形に変えたかと思うと、「この終局の素晴らしさ――
幕切れに大向を唸らせるファウスト博士の大見得――この意表を絶した総懺悔の形容を見....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
手障子内に蚊帳を吊り、六枚屏風を立てて、一体の作りが浪人|住居の体。演技はすでに
幕切れに近かった。 お岩 ヤヤ着物の色合、つむりの様子。こりゃ、これ、ほんまに....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
際に尼僧達は、玉幡の膨脹には気が付かなかったのだ。そうしてから、犯人は、愈最後の
幕切れになって、あの金色燦然たる大散華を行ったのだよ。と云うのは、無論浄善の廻転....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ですよ。」久能というのは老劇作家で、新劇団の先輩であった。 「私明日は、十三場の
幕切を、気をつけてやってみたいと思いますの。あすこ、今日は少し失敗だったと思いま....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
に苦しみつつ死ぬるのを成仏と読者に感ぜられるように描きたいと思っています。最後の
幕切れは、親鸞の魂の天に返れることをあらわすために、平和な、セレスチアルな音楽で....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
を感じるであろう。 殊に、如何ほど、貪慾なる本能はあっても表現の才能なき画家の
幕切れは悲しいと同時に、表現力のみあってよき神経と強き星を欠く処の画家は、商業美....
「幻談」より 著者:幸田露伴
笑った。「ハハハ」「ハハハ」と軽い笑《わらい》で、双方とも役者が悪くないから味な
幕切《まくぎれ》を見せたのでした。 海には遊船《ゆうせん》はもとより、何の舟も....