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「幕舎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幕舎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
古き小画」より 著者:宮本百合子
し、ルスタムは、どんな特殊な囁きも、羽搏きも自分の傍に聞かなかった。夜は、そして幕舎の裡は、もとどおりイラン曠原の寂しさと、見なれた光景に満ちている。それでも、....
三国志」より 著者:吉川英治
馳けきたった。 「何者か」 と、玄徳らは、やがて近づいて陣門に入るその軍馬を、幕舎の傍らから見ていた。 総勢、約千五百の兵。 隊伍は整然、歩武堂々。 「そ....
三国志」より 著者:吉川英治
出る気にはなれん」 と、顔を横に振った。 楊奉の部下が、 「徐晃が今、自分の幕舎へ、敵方の者をひき入れて何か密談しています」 と、彼の耳へ密告した。 楊....
三国志」より 著者:吉川英治
だした。で――城外に野陣を張り、三万の精兵が帷幕をめぐって警備についた。彼の眠る幕舎の外には、屈強な力士や武将が斧鉞をもって、夜も昼も、四方を守っていた。 と....
三国志」より 著者:吉川英治
操の中軍めがけて、不意に突喊してみたところ、そこは四方に立ち並ぶ旗や幟ばかりで、幕舎のうちには、一兵もいなかったのである。 「やや。空陣だ」 「さては」 と、....
三国志」より 著者:吉川英治
おびただしい酒の瓶、小羊、鶏の丸焼きなどを、それへ並べて帰った。 一行はそこに幕舎を張って、酒の瓶を開き、山野の風物に一息いれながら、杯を傾けて休息していた。....
三国志」より 著者:吉川英治
役に立つかも知れぬと存じて連れ参りましたが」 関平はよろこんで、ともあれ自分の幕舎へ迎え、まず鄭重にたずねた。 「先生の尊名は?」 「華陀、字は元化」 「さて....
私本太平記」より 著者:吉川英治
い合うのが、つまり初春は二十日の七里ヶ浜大馬揃いなのである。 各家の紋を打った幕舎やら、それぞれの旗じるし、駒つなぎ。 それが、浦曲と磯松のつづくかぎりにつ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
がっていた者どもだが、 「どうだ、みんな」 と、その夕、味方にもそっと、部下を幕舎にあつめて、こういった。 「今日の守護や大名も、むかしをただせば、みなおれた....
私本太平記」より 著者:吉川英治
。彼らは道誉から「夜明けも近いぞ、眠っておけ」といわれたのをいい機に、それぞれの幕舎へ入って横たわった。 道誉も隠れた。その四ツ目結の幕の内は、倉院役人の私宅....
私本太平記」より 著者:吉川英治
間を縫って、直義の姿が池むこうの陣幕のほうへ歩いて行くのがみえた。堂をめぐって、幕舎は幾つもあるが、そこの一つの蔭には、艶に粧った子づれの女性と、平服の侍が一人....
私本太平記」より 著者:吉川英治
変り出していた。 尊氏の陣営内へ入って行った直義や今川|範国は、いつまでもその幕舎から姿をみせず、やがて、外に現われた直義は、何か、兄とまた激論でも交わしたら....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ここまでの間には、言い出しかねていたことらしい。そういうと、正季は、いちど自分の幕舎のほうへ帰って行った。 むうんと、暑い。 木蔭は青葉|蒸れがする。それな....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
木曾勢には、その一軍団ごとに、部将の妻や娘もいたことと考えられる。 だから陣の幕舎に、脂粉の香をもっていたのは、ひとり義仲だけではない。他の部将も、連れていた....
黒田如水」より 著者:吉川英治
っと官兵衛どのをこちらへお連れください。ご案内する」 前田は先に立って、庭上の幕舎のひとつへ導き入れた。本来は家の内へ担い上げてやりたいのであるが、黒田官兵衛....