平べったい[語句情報] »
平べったい
「平べったい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
平べったいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
事なしに小さな皮肉な笑いを口びるの所に浮かべていた。
寝台の下に押し込んである
平べったいトランクを引き出して、その中から浴衣《ゆかた》を取り出していると、ノッ....
「星座」より 著者:有島武郎
だ。じくじくと考えている彼の眼がきゅうに輝きだして、湯気《ゆげ》を立てんばかりな
平べったい脂手が、空を切って眼もとまらぬ手真似の早業《はやわざ》を演ずる。そうい....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
、まごつかざるを得ない訳だ。漸く細君が朝飯を運んでくれたが、お鉢という物の上に、
平べったいしおぜのお膳、其に一切を乗せ来って、どうか御飯をという。細君は総《すべ....
「ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
のお玉さんは眼鼻立ちこそ兄さんに肖《に》ているが、むしろ兄さんよりも大柄の女で、
平べったい顔と厚ぼったい肉とをもっていた。年は二十歳《はたち》ぐらいで、いつも銀....
「赤外線男」より 著者:海野十三
さしだした。 「これは……?」乙吉の受取ったのは、よく鉱物の標本を入れるのに使う
平べったい円形のボール函で、上が硝子になっていた。硝子の窓から内部を覗いてみると....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
て妹のお玉さんは、眼鼻立ちこそ兄さんに肖ているが、むしろ兄さんよりも大柄の女で、
平べったい顔と厚ぼったい肉とをもっていた。年は二十歳ぐらいで、いつも銀杏がえしに....
「わが町」より 著者:織田作之助
の後妻になるものと疑わなかったが、秋になると、儀助のところへ、江州から嫁が来た。
平べったい器量のわるい顔のくせに、白粉をべたべたとぬり、けれども実科女学校を出て....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
圧えて、そして片足|遁構えで立っていた。 「今晩は。」 「はい、今晩は。」 と
平べったい、が切口上で、障子を半分開けたのを、孤家の婆々かと思うと、たぼの張った....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
いるのである。暖簾をくぐって、碁盤の目の畳に腰掛け、めおとぜんざいを注文すると、
平べったいお椀にいれたぜんざいを一人に二杯もって来る。それが夫婦になっているのだ....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
ていたといいます。父は高座へ上ればすぐ自分の顔の色のことを言うくらい色黒で、鼻も
平べったい方でした。 その時、母はいいわけするのもあほらしいという顔だったが、....
「博物誌」より 著者:岸田国士
誰も取換えたりはしない。ただ暴風雨の日にひとりでに新しくなるだけだ。 雄はその
平べったい嘴で雌の頸を軽く噛みながら締めつける。いっとき彼は頻りにからだを動かす....
「科学が臍を曲げた話」より 著者:海野十三
に、人体の患部を入れるのです。電極というのは金属板で出来ていまして盆のように丸い
平べったい板です。 ところが或る時、研究室で飛んでもないことが起りました。超短....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
思い、懐手を出すのも面倒くさく、そのまま行き過ぎようとして、ひょいと顔を見ると、
平べったい貧相な輪郭へもって来て、頬骨だけがいやに高く張り、ぎょろぎょろ目玉をひ....
「瘤」より 著者:犬田卯
した。 「ふう……明××日、本人出頭のこと……代人を認めず……ふう。」 田辺は
平べったい顔をひきゆがめ、鼻をくんくん鳴らしながら、二度も三度もその文句を口にし....
「審判」より 著者:カフカフランツ
のに、説教があろうなどと考えることはばかげていた。僧は――疑いもなく僧だったが、
平べったい、陰鬱な顔をした若い男だった――誤ってつけられたランプを消そうとして登....