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「平常心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平常心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
のニッケルの蓋《ふた》の上に映《うつ》った彼自身の顔へ目を注《そそ》いだ。いつも平常心《へいじょうしん》を失ったなと思うと、厭《いや》でも鏡中の彼自身を見るのは....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
されました事でございまして」 秋「其の人は何処の者か」 源「へえ実はその……私が平常心易くいたしますから、どうかお前頼んでくれまいかと云われて、私が其の医者を同....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ものは驚きもするけれども、驚いてそうして、度を失うお角さんではありません。直ちに平常心を取戻して、案内役の小坊主を、ちょっと杉戸の蔭に小手招きして、耳うちをしま....
次郎物語」より 著者:下村湖人
。午前十時の陽が、磨硝子をはめた五間ぶっとおしの窓一ぱいに照っており、床の間の「平常心」と書いた無落款の大きな掛軸が、まぶしいほど明るく浮き出している。 次郎....
道〔扉の言葉〕」より 著者:種田山頭火
彼の人格が現われ彼の境涯が成り立つ、彼の句格が定まり彼の句品が出て来るのである。平常心是道、と趙州和尚は提唱した。総持古仏は、逢茶喫茶逢飯喫飯と喝破された。これ....
妖怪学」より 著者:井上円了
この表について考うるに、平常経験したること、および近く経験したること、その他、平常心頭にかけたることは、夢中に現ずる割合多きを見る。すなわち、熱海にありては毎....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
て、自分自分の部屋へ帰って行った。その後ろ姿をいちいち見送りながら、私はみんなが平常心を取りもどしているのを知った。 施先生が靴を捜してくれ、婦長さんが鉄兜や....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
より深く高い境地はないのであります。昔|南泉という支那の偉い坊さんが、仏心とは「平常心」に、ほかならぬと説きましたが深い教えだと思います。 それに有難いことに....
民芸とは何か」より 著者:柳宗悦
は「特殊」の世界に活きます。一方は「無想」に生れ、一方は「有想」に発し、前者は「平常心」を示し、後者は「分別心」を語ります。 あるいはこれ等の対比を、実用を旨....
美の国と民芸」より 著者:柳宗悦
者より謙遜な者の方が慕わしいのです。徳と交り易いからです。道は異常なものにはなく平常心にあると云います。事なき境地に在る者こそ貴い人だと云われます。技巧よりも無....
民芸の性質」より 著者:柳宗悦
泉という坊さんがいました。ある時弟子が彼に「道とは何か」と尋ねました時、南泉は「平常心是道なり」と答えたと云います。私は日常の器物にこの教えを聞く想いがします。....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
う、以前にも増してあくまで惚《ほ》れ込んでいるような様子を示すようにしていたが、平常心の底に蟠《わだかま》っている怨恨《えんこん》は折々われ知らず言葉の端にも現....
三国志」より 著者:吉川英治
きに、江夏の敗れ、黄祖の戦死を、お聞き及びか」 「黄祖は、自ら滅びたのでしょう。平常心のさわがしい大将でしたから、いつかこの事あるべきです」 「呉を討たねばなら....
私本太平記」より 著者:吉川英治
恐ろしいものは何?」ときけば、正成は戦と即答するにちがいない。それほど今の彼は、平常心の理性に、身の毛をよだてていた。 「ぜひもない。……それでそなたも良人も、....
硝子を破る者」より 著者:中谷宇吉郎
うだね」と苦笑した。 日本人が汽車の窓硝子を破るようになったのは、窮乏のために平常心を失ったからであり、窮乏は敗戦に原因する。そういう意味では、戦争に敗けたか....