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「平服〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平服の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
い船室風の応接室で、キャプテン深谷氏の夫人に面会することが出来た。 地味な黒い平服を着て銀のブローチを胸に垂れた深谷夫人は、まだ四十を幾つも越さぬらしい若々し....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
した。俊がさかさまにひっくりかえったような叫声をだした。竹三郎がうしろへ向くと、平服の身体のはばが広い支那人が立っていた。かくす暇も、何もなかった。 「それゃ何....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
。 降蔵の話によると、彼は水戸浪士中の幹部のものが三、四人の供を連れ、いずれも平服で加州の陣屋へ趣くところを目撃したという。加州からも平服で周旋に来て、浪士ら....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ソウと、上祖師ヶ谷の彦さんは分ったかな」 「分からねえとよ。中隊でも大騒ぎして、平服で出る、制服で出る、何でも空井戸を探してるちゅうこンだ」 「窘められたンです....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
都に来つ。閑静なる河ぞいの宿をえらみて、ここを根拠地と定めつつ、軍服を脱ぎすてて平服に身を包み、人を避け、公会の招きを辞して、ただ日々浪子を連れては彼女が意のむ....
黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
平にこの旨を談判した。 鉄平は「じゃ君に任せよう」と淋しく笑った。 津留木は平服で丸山家を訪れた。 養策が会ってみると「音絵を哲也の嫁に」という相談であっ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
しましょう。」と鞠は素早く襷をかけた。 その時、重役の野田武蔵がお供も連れず、平服で忍ぶようにやって来て、 「金内殿は、出かけられましたか。」と八重に小声で尋....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
よって民衆は一定の道義の礼服を着て物を云うことを強要されているのである。うっかり平服で物を云おうものなら、民衆は道義的お節介の好きな相棒から、中傷されるのだ。一....
人形の話」より 著者:折口信夫
ん変化がある。われわれがみただけでも、「いたこ」が房主のように衣を着てやるのも、平服でやるのもある。 「いたこ」は条件的に目が悪い。つまり盲目が感じるのである。....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
みると、座敷のなかには警部らしい人の剣の音がかっかっと鳴っていた。刑事巡査らしい平服の男も立っていた。蚊帳はもうはずしてあった。二つならべてある一方の蒲団の上に....
可愛い女」より 著者:神西清
った。門の外に立っていたのは獣医のスミールニンで、もはや白髪頭になって、みなりも平服姿だった。彼女はたちまち一切が思い出されて、つい堪えかねてわっと泣き出すと、....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
思わず眼をみはって吐息を洩らした。 なぜなら彼は、夫の死にもかかわらず、華美な平服に着換えた、ウルリーケを発見したからである。 「こりゃ驚いた――あの女は亭主....
梟啼く」より 著者:杉田久女
させた。 父は思出のたねとなるからとて、信のつねに着ていた、弁慶縞のキモノも水平服も帽もすべて眼につくものは皆焼き捨ててそこいらには信の遺物は何もない様にして....
接吻」より 著者:神西清
てている将校もあるという、てんやわんやの真最中に、教会のかげから、馬にまたがった平服の男が一人姿を現わしたが、その乗っている馬がまた一風変った代物だった。淡黄毛....