平板[語句情報] » 平板

「平板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
さようなら」より 著者:田中英光
その肉体がまだ恢復せぬのをみせつける如くノロノロ動き、細い首筋をつきだしゆっくり平板な顔を廻してみせる動作、一生、彼女の面倒をみる道徳的責任があるとその毎に、ぼ....
雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
、遥かに消え失せた。 頂上を仰ぐと、平ッたい赭渋色の岩の上に、黒く焦げた岩が、平板状に縞を作った火口壁が、手の達《とど》くほど近く見え、鉛のように胸壁に落ちて....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
きないであろうが、しかしこの人にとっては地球は、あるいは正しく言えば海面は、全く平板な、そうしてすべての方向に無限の遠方に広がる面であるように見えるであろう。 ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
情を危く露出しそうになったのに、どうなることかとはらはらしていた。それもだんだん平板に落着いて来たが、あの規矩男にこういう母親の平凡な待望がかけられているとは、....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
した。 そこからまた下りになって、尾根へつづく、尾根の突角は屋根の瓦のように、平板に剥げた岩石が、散乱している、嘉代吉は偃松の下で、破れ卵子を見つけ、足の指先....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
よりする事がよいと思う。正面に光があたると、完全な明暗の区別が見えなくなり物体が平板と見え、調子を見る事が出来ないからである。 食パンを使い過ぎない事。しめっ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
言葉が順当に運ばれて、作歌感情の極めて素直にあらわれた歌であるが、さればといって平板に失したものでなく、捉うべきところは決して免がしてはいない。「山越しの風」は....
学生と生活」より 著者:倉田百三
ぎるな。それは今の諸君の環境でも可能なことであると。私は学生への同情の形で、その平板と無感激とをジャスチファイせんとする多くの学生論、青年論の唯物的傾向を好まぬ....
女性の諸問題」より 著者:倉田百三
に対しては、私たちはでき得る限り、現実生活の物的、便宜的条件によって、妥協的な、平板なものにすることをさけて、その精神性と神秘性とを保存し追究するようにしなけれ....
金の十字架の呪い」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
を上げると開かれるようになっていた。二本の丈夫な棒でそれを高く支えて、上部の石の平板の端にひき上げて、それから死骸の頭の後の棺の角々に差入られた。それで足と体の....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
らつくようになった。それは愛と誠と誓いとを以て貫ぬかれているとは言え、日常生活の平板から、夢と飛翅とへ駈り立てるものであった。私たちの美的、文人的そして多少とも....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
一同は、いっさいその命令に服して、ひとりとして不服をいうものはない。堅板、横板、平板、支柱、帆類すべての材料は、サクラ号からとっておいたものだけで十分であった。....
茶の本」より 著者:岡倉由三郎
たやすく郷党に容れられ、広く同胞に理解されるには、兄の性行に狷介味があまりに多かった。画一平板な習俗を懸命に追うてただすら他人の批評に気をかねる常道の人々からは、とかく嶮....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
二葉亭の文学や事業を批評したのではなく、いわば履歴書に註釈加えたに過ぎないので、平板なる記実にもし幾分たりとも故人の人物を想到せしむるを得たならこの一篇の目的は....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
な一枚岩の蟠りも少ないようである。然し比較的幅のあるそして長い頂上――夫も決して平板単調ではない――就中大汝の附近に三々又五々、恣に横時縦錯せる巨岩の堆積は、山....