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「平淡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平淡の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
先には金縁の眼鏡《めがね》が掛かっている。 絢爛《けんらん》の域を超《こ》えて平淡に入《い》るは自然の順序である。我らは昔《むか》し赤ん坊と呼ばれて赤いべべを....
明暗」より 著者:夏目漱石
ぞうさ》に背広《せびろ》の隠袋《ポケット》の中へ投げ込んだ。彼の所作《しょさ》が平淡であったごとく、彼の礼の云《い》い方《かた》も横着であった。 「サンクス。僕....
」より 著者:夏目漱石
時の談話を、一々思い浮べるたびに、その一々が、ほとんど無着色と云っていいほどに、平淡であった事を認めた。そうして、かく透明な声が、二人の未来を、どうしてああ真赤....
作物の批評」より 著者:夏目漱石
間交渉の際卒然として起る際《きわ》どき真味がなければ文学でないと云う。あるものは平淡なる写生文に事件の発展がないのを見て文学でないと云う。しかして評家が従来の読....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、それとはなしに積まれているようであります。 与八としても、ほぼお松と同様で、平淡なるほど自分の立場の堅実を、感ぜずにはおられないと見えます。 人が自分の立....
源氏物語」より 著者:紫式部
だ主観的にこちらさえ寛大な心を持って臨めばよいことなのだ。はなやかな時代も過ぎて平淡な心境におられるあの院に三の宮の良人となっていただくことは最も安心なことだと....
源氏物語」より 著者:紫式部
はあっけなく明けた気がして、薫は女王のいずれもが劣らぬ妍麗さの備わったその一人と平淡な話ばかりしたままで別れて行くのを飽き足らぬここちもしたのであった。 「あな....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
た。しばらく行くと汽車はドナウの直ぐ傍を通った。ドナウは青野と畑と丘の間を極めて平淡にながれて居る。「ははあ。だいぶ細くなって来たな」こうおもいながら、暫く流を....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
慨をそれに寓せしめたところが旨いのである。霍公鳥の歌は万葉には随分あるが、此歌は平淡でおもしろいものである。家持の作った歌の中でも晩期のものだが、稍自在境に入り....
昭和二年の二科会と美術院」より 著者:寺田寅彦
と思う。「初夏」の人物は昨年のより柔らかみが付け加わっている。私は「苺」の静物の平淡な味を好む。少しのあぶなげもない。 横井礼市。 この人の絵はうるさいところ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
った。そしてクリストフはその欠点をまだ知らなかった。)ドイツで好まれる多少柔弱な平淡さをもってる楽節にたいして、彼女は少しも歓《よろこ》びを示さなかった。彼の歌....
魔像」より 著者:林不忘
言うと、対馬守がほほえんでしきりに合点《がってん》合点をしている。ひとり遅れて、平淡路守が超然と歩いて来る。山野に遊んで四方《よも》の景色を賞美していると言った....
三階の家」より 著者:室生犀星
お暇しますわ、お邪魔でございましょうし……」 しかし女の顔には別に毒念のない、平淡さがあった。 「そしてお前はどこへ行くのだ、いまから一人で……」 「近くに宿....