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「平然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇遇」より 著者:芥川竜之介
い。が、王生《おうせい》はそれを取り上げると、ちょいと顔を暗くしたが、しかし存外平然と、徐《おもむ》ろにこんな話をし出した。 「僕の鶯鶯なぞと云うものはない。が....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
、お蓮《れん》は早速彼の妻が、訪ねて来たいきさつを話して聞かせた。が、牧野は案外平然と、彼女に耳を借したまま、マニラの葉巻ばかり燻《くゆ》らせていた。 「御新造....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
る所を見ると、少くとも幾分かは僕自身にも関係を持ったことらしかった。僕は人目には平然と巻煙草を銜《くわ》えていたものの、だんだん苛立《いらだ》たしさを感じはじめ....
路上」より 著者:芥川竜之介
いきお》いに乗った俊助は、もう一度|際《きわ》どい鎌をかけた。けれども大井は存外平然と、薄笑《うすわらい》を唇に浮べながら、 「美人か――ありゃ僕の――まあ好い....
捨児」より 著者:芥川竜之介
《だ》いたまま、水晶《すいしょう》の念珠《ねんじゅ》を片手にかけて、いつもの通り平然と、読経《どきょう》をすませたとか云う事でした。 「しかしその間《ま》も出来....
将軍」より 著者:芥川竜之介
出かけて来たのです。御覧下さい。ここに紙幣もあります。」 髯《ひげ》のある男は平然と、将校たちの顔を眺め廻した。参謀はちょいと鼻を鳴らした。彼は副官のたじろい....
二つの道」より 著者:有島武郎
まである。ままであるならば人は右のみを歩いて満足してはいない。また左のみを辿って平然としていることはできない。この二つの道を行き尽くしてこそ充実した人生は味わわ....
外科室」より 著者:泉鏡花
任を荷《にな》える身の、あたかも晩餐《ばんさん》の筵《むしろ》に望みたるごとく、平然としてひややかなること、おそらく渠のごときはまれなるべし。助手三人と、立ち会....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
し上都《じょうと》の道、越後直江津《えちごなおえつ》まで汽船便ある港なり。欣弥は平然として、 「これからすぐに発《た》とうと思う」 「これから※」と白糸はさすが....
婦系図」より 著者:泉鏡花
門生は、妙子様に……」と、あとは他人でもいささか言いかねて憚ったのを、……酒井は平然として、 「惚れていますともさ。同一家に我儘を言合って一所に育って、それで惚....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
持ち合わしているものが、二つの力の矛盾を感じないでいられようか。矛盾を感じながら平然としてそこに無恥の安住をのみ続けていることが出来ようか。 偽善者よ、お前は....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
為に出でしむるのである。これが文明の汚点でなくて何であろう。然るに現代の法律は、平然として此等酔漢に対して、一指を染めようとしない。 問『酔漢の躯に憑るとは何の....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
が一匹、炎のような舌を吐いて、見る見る近くへ下りて来るのです。 杜子春はしかし平然と、眉毛も動かさずに坐っていました。 虎と蛇とは、一つ餌食を狙って、互に隙....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
払わねばならぬのは辛い。この犠牲たるや、下賤の者は左程と思わぬであろうが、自分は平然としていられない。」 そうかと思うと、 「サー・デビーはヨウ素の実験を繰り....
寡婦」より 著者:秋田滋
その娘をつれて逃げてしまいました。 ド・サンテーズさんは、何事もなかったように平然とした容子をしておりました。ところが、ある朝、何匹もの犬にとり囲まれて、その....