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「平静〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平静の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
うにした。が、眼にも唇にも、漲《みなぎ》っているものは微笑である。しかもほとんど平静を失した、烈しい幸福の微笑である。男はこの時妻の微笑に、何か酷薄《こくはく》....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
の三年間、自分は山の手の郊外に、雑木林《ぞうきばやし》のかげになっている書斎で、平静な読書|三昧《さんまい》にふけっていたが、それでもなお、月に二、三度は、あの....
或る女」より 著者:有島武郎
違いだぞ」 そういいながら倉地は葉子を突き放すようにした。葉子はそれでも少しも平静を失ってはいなかった。あでやかにほほえみながら、 「あなたもあんまりわからな....
私の父と母」より 著者:有島武郎
によって浄土真宗に入って信仰が定まると、外貌が一変して我意のない思い切りのいい、平静な生活を始めるようになった。そして癲癇《てんかん》のような烈しい発作は現われ....
蠅男」より 著者:海野十三
てはります」 と、三度雇い人が、室内に入ってきた。帆村はハッと思ったが、強いて平静を装い、先に案内に立たせ、二階へ上っていった。 「よう、帆村荘六君か。大分待....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ロンドンその他の混乱はたいへんなものであったが、それの対策が出来ると共に、市民は平静さをとり戻し、被害は少なくなった。わが特攻隊の出現は敵陣を大恐怖せしめたが、....
奇賊は支払う」より 著者:海野十三
繭子夫人の消息は判明せず、この事件を話題として満都は沸き立っている。 その中に平静なる朝の湖面の如き者は、苅谷氏只ひとりだった。 氏は夫人失踪の第三日を迎え....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
表情になって、彼女のところへ飛んできたが、傍に仏が立っているのに気がつくと、俄に平静に戻ろうと努力し、 「おや、まあ、これは……」 と、どっちつかずの挨拶をす....
四次元漂流」より 著者:海野十三
ながら、じりじりと傍へ寄った。老浮浪者の目にはちょっと狼狽の気色が見えたが、すぐ平静な態度になって、二人の横をすり抜けて通ろうとした。 「待ちたまえ。ちょっと聞....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
に打死して了いました。その時分の不安、焦燥、無念、痛心……今でこそすっかり精神の平静を取り戻し、別にくやしいとも、悲しいとも思わなくなりましたが、当時の私どもの....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
体躯に対する顧慮を失い、図らずも汝に苦痛を与えることになった。今度はつとめて心の平静を保つよう注意を怠らぬであろう。 さるにても、戦慄すべきは戦争の惨禍である....
獄中消息」より 著者:大杉栄
なったよし。僕はあの寒村のことだから煩悶をしなければいいがと心配していたが、案外平静なようなのでまずまず安心している。いつかも慰め顔にいろいろと問い尋ねる看守に....
中支遊記」より 著者:上村松園
なこともなかった。天気にも非常に恵まれ蘇州で少し降られただけである。こうして終始平静な旅を普段とあまり変らぬ状態で続けている気持は、日本と支那とがいかにも近く考....
山吹」より 著者:泉鏡花
美しい奥方様、おありがとうござります。おありがとうござります。 夫人 (はじめて平静に)お前さん、痛みはしないかい。 人形使 何の貴女様、この疼痛は、酔った顔を....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
ったんだ。アハハハハハ。して君は一体どなたでしたっけ?』 漸く落付きを取り戻し平静にかえった弟は、静かに私を眺めて姓名を思い出そうとしていましたが、軈てはッと....