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「年嵩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

年嵩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
て、一足彼の方へ進もうとした。 「それだから喧嘩になるんじゃないか? 一体お前が年嵩《としかさ》な癖に勘弁《かんべん》してやらないのが悪いんです。」 母は洋一....
将軍」より 著者:芥川竜之介
た。支那人は通訳の質問通り、何でも明瞭《めいりょう》に返事をした。のみならずやや年嵩《としかさ》らしい、顔に短い髯《ひげ》のある男は、通訳がまだ尋ねない事さえ、....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
何か思い切った事をしてでも胸をすかせたく思った。丁度自分の畑の所まで来ると佐藤の年嵩《としかさ》の子供が三人学校の帰途《かえり》と見えて、荷物を斜《はす》に背中....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
にしろ、これは内密にして置いて、なんとかして彼のお鷹を探し出すよりほかはないと、年嵩の伊四郎がまず云い出した。実際それよりほかには知恵も工夫もないので、二人もそ....
親子」より 著者:有島武郎
ぜわしなくこんな注意をするような父だった。 停車場には農場の監督と、五、六人の年嵩な小作人とが出迎えていた。彼らはいずれも、古手拭と煙草道具と背負い繩とを腰に....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
つけ込んで、出来るだけの強味と素気なさを見せていようと度胸を極めた。彼は苦労した年嵩の男性の威を力み出すようにして「お入りなさい。なぜ入らないのです」といった。....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
じゃないか、私は此のお屋敷に八ヶ年も御奉公をして、殿様から正直と云われているのに年嵩だものだから御疑念を受ける、孝助どうしたか云わねえか」 孝「私は覚えはないよ....
赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
った所で、ふと卜翁は云い出した。 「……御身達いずれも四十以上であろうな。鈴木が年嵩で六十五か。……年を取ってもこの元気じゃもの壮年時代が思いやられる。……され....
光は影を」より 著者:岸田国士
「えゝ、先から存じあげていますの。まだ、無名でいらしつた頃から……」 多津は、年嵩らしく、鷹揚にうなずきながら、兄の方へ、いたずらつ子のような眼くばせをした。....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
ても、この浅草の観音堂と信州長野の善光寺とは、特にそれが著しいな」こういったのは年嵩の方で、どうやら階級も上らしい。「わしは善光寺は不案内だが、そんなに御堂は大....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
こを探しても峯吉の姿のないのを知ると、人びとはすぐに事態を呑み込んで蒼くなった。年嵩の男と女が飛び出した。それは直ぐ隣りの採炭場にいる峯吉の両親であった。父親は....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
女学校では生徒の年がさまざまで、若い人もあれば、一方には地方から選抜されて来た年嵩の人もありました。私などは風体が目立って、野暮臭いと皆が笑ったでしょうけれど....
子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
も浮いた噂を聞かなかったのですが、どうもこの頃は様子がおかしいと、一座のうちでも年嵩の者は眼をつけるようになりました。子供達にさえそう見えたのですから、小屋ぬし....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
羽織をきた立派な男が車夫に何か大きい風呂敷包みを持たせて来て、わたしたちのうちで年嵩の児にむかって、「この辺に岡本さんという家はありませんか。」と訊いたので、わ....
春泥」より 著者:久保田万太郎
しにのばしたのは三浦でもなければ田代でもなかった。――みんな自分……なかで一ばん年嵩の自分だった…… 「酒なんぞ飲んでどこが面白いんだ。」 歎息するようにかれ....