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年越し
「年越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
年越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
明治三十四年十二月十三日」
倉地は事業のために奔走しているのでその夜は
年越しに来《こ》ないと下宿から知らせて来た。妹たちは除夜の鐘を聞くまでは寝ないな....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
帰った。 「いくらお大尽さまでも、ちっと道楽が過ぎましょう」と、佐野屋の主人は二
年越しの遊蕩に少しく顔をしかめていた。治六は喧嘩づらで急《せ》き立てて、ことしも....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
は西の空を見て毎日泣いている。それを気の毒とも可哀そうとも思うにつけて、足かけ三
年越しもつづいて来た自分たちの恋仲も、やがてこうした破滅に近づくのではあるまいか....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いうのはお前さんが世話でもしていなさるのかえ」 「左様でございます」 お元は三
年越し世話をしているが、あまり心柄のよくない女で、たびたび無心がましいことを云う....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
亭主は二人が満足するような詳しい説明をあたえることは出来なかった。しかしお伝は二
年越しここに奉公している正直者で、今までに浮いた噂などは勿論なかったと亭主は証明....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
んがえると実にばかばかしいお話ですがね」 文久三年正月の門松も取れて、俗に六日
年越しという日の暮れ方に、熊蔵という手先が神田三河町の半七の家へ顔を出した。熊蔵....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
張訓はそれをかかえて退出したが、頭はぼんやりして半分は夢のような心持であった。三
年越し連れ添って、なんの変ったこともない貞淑な妻が、どうしてそんな事をしたのか。....
「断層顔」より 著者:海野十三
英雄ともちあげられた男だ」 「ははあ、又縁談の口かね。あの男ならもう駄目だよ。七
年越しの岡惚れ女と今は愛の巣を営んでいるからね」 「谷間シズカという女のことをい....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
話と思おうけれど、昔ばかりではないのだよ。現に、小母さんが覚えた、……ここへ一昨
年越して来た当座、――夏の、しらしらあけの事だ。――あの土塀の処に人だかりがあっ....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
る登志子の横顔をのぞいて、慰さめるようなものやさしい調子でこういった。彼女は四五
年越し会わなかった友達の不意の訪問におどろきながらも、一通りならずよろこびながら....
「男女関係について」より 著者:大杉栄
月のいつであったか、(僕には忘れもしない何月何日というようなことは滅多にない)三
年越しの交際の間に初めて自由な二人きりになって、ふとした出来心めいた、不良少年少....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ら申す老獪い成上り者から戦闘を挑まれ、幾度かのはげしい合戦の挙句の果が、あの三|
年越しの長の籠城、とうとう武運拙く三浦の一|族は、良人をはじめとして殆んど全部城....
「お住の霊」より 著者:岡本綺堂
縁を申し込んでくれと云う。兄も驚いて、これが昨日今日の仲でも無し、縁でこそあれ五
年越しも睦じく連添っていたものを、今更突然に出るの去るのと云うは一向その意を得ぬ....
「拷問の話」より 著者:岡本綺堂
うにも見えなかったが、再三評議の末にいよいよそれを許可することになった。足かけ三
年越しの裁判もここに初めて落着して、五月二十三日、播州無宿の吉五郎は死罪を申付け....
「活人形」より 著者:泉鏡花
の日の風次第、寄る辺定めぬ捨小舟、津や浦に彷徨うて、身に知る業の無かりしかば、三
年越しの流浪にて、乞食の境遇にも、忘れ難きは赤城の娘、姉妹ともさぞ得三に、憂い愁....