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幻惑
「幻惑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幻惑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惰眠洞妄語」より 著者:辻潤
は恐ろしい東北の訛がある。それは詩人の無声慟哭だ。 屈折率、くらかけの雪、丘の
幻惑、カーバイト倉庫、コバルト山地、霧とマッチ、電線工夫、マサニエロ、栗鼠と色鉛....
「蠅男」より 著者:海野十三
帆村探偵の自信は俄かにグラつきだした。彼は遂に、眼から入ってきた蠅男の姿に、
幻惑されてしまったのである。深い常識のために、推理の力を鈍らせてしまったのである....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
そうして時々笑いかけさえした。媚に充ち充ちた態度であった。もし宗春が彼女の美に、
幻惑陶酔すること無く、観察的に眼を走らせたとしたら、彼女が腹に一物あって、彼を魅....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
需工業が盛んになり、一時失業労働者の数が少しは減ったり何かしても、そういう事情に
幻惑されて、非常時の延長などを希望する者があったとしたら、何人によらず之ほど国を....
「男女関係について」より 著者:大杉栄
現実の人となった。 君は僕に保子のあることも、神近のあることも、僕に対する愛の
幻惑やまたは仕様事なしのあきらめからではなく、君自身の深い反省と自覚とから、心の....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
戦慄《せんりつ》を感じた。クリストフはそういうふうにして自分が友の上に及ぼしてる
幻惑に気づいた。そして攻撃的な気分をさらに誇大してみせた。あたかも老革命家のよう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
よって、一瞬間のうちにはっきり感ずるのであった。覚醒の状態になっても、その不安な
幻惑がまだ残っていて、しかもその原因がなんであったかは覚えていなかった。それはあ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いど》から発散する微細な電気が、見て取られるのであった。そしてそれはクリストフを
幻惑し不安ならしめた。身をもがいてるりっぱな魂が、汚辱から脱しようと努めてる偉大....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
酔い狂う※風《ひょうふう》であった。騒然たる武力であった。群集の熱を歌う人々の
幻惑せる叙事詩であった。未来の都市を鍛え出す、 大なる火炉と巨《おおい》なる鉄....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ィエの手から逃げ出していた。そして、恋せる女が眼をつぶって身を任せるのと同様に、
幻惑せる感覚の朦朧《もうろう》たる擾乱《じょうらん》の境地に楽しんでいた。 オ....
「新妻の手記」より 著者:豊島与志雄
教育方針であって、私もそう考えていた。年若くてなまじ文才があったため、それに自ら
幻惑されて、文学上の真の能力や仕事がどういうものかを知らず、前途を誤った者もある....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
誰しも傷心やみがたければ、そうもなろうというものだろう。だいたい人の判断が視覚に
幻惑される例は多いね。この山この谷の姿を見ればトウトウと谷の流れや至るところに清....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
と、上下左右の思わざるところから攻撃が起り、まるで百本の杖に攻められているような
幻惑をうける。 その上、両手の幅と頭上へ手をのばした高さがあれば使えるから三畳....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
なたの美しいこころねの分るひとではありません。ただ、あなたのかおかたちの美しさに
幻惑されて、あなたを騙そうとしているのです。あなたのこころが分るひとは自然のここ....
「今昔茶話」より 著者:国枝史郎
ことである。 いかに、この二人の弁舌がすぐれていて、いかに、各国の王侯がそれに
幻惑されたか。 ところで、この二人の説の根本をなすものは、孔子や孟子のように、....