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「幽谷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幽谷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
謹慎なる聴衆を容《い》れたる法廷は、室内の空気|些《さ》も熱せずして、渠らは幽谷の木立ちのごとく群がりたり。制服を絡《まと》いたる判事、検事は、赤と青とカバ....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
れば、参考のために、その場所を伺っておきたいくらいでございまして。……この、深山幽谷のことは、人間の智慧には及びません――」 女中も俯向いて暗い顔した。 境....
単独行」より 著者:加藤文太郎
へ入ります。しかし同じ尾根へ登りました。この道は荒れ果てていますが、なかなか深山幽谷的なところです。去年十二月三十一日雪を眺めて歩いたあの国道へ出ました。そして....
流線間諜」より 著者:海野十三
」と首領「右足のない梟」は厳かな口調で云った。一座はシーンと静まりかえって、深山幽谷にあるのと何の選ぶところもない。 「――その前に、すこしばかり意見を交換して....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
のとては並び建つ校舎からはねかえる反響のほかになんにもなかった。それはまるで深山幽谷のように静かな春の夕方だった。 杜はガッカリして、薄暗い講堂の中にかえって....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
とは名附くるにて、この半腹の洞穴にこそかの摩利支天は祀られたれ。 遥かに瞰下す幽谷は、白日闇の別境にて、夜昼なしに靄を籠め、脚下に雨のそぼ降る如く、渓流暗に魔....
北斗帖」より 著者:違星北斗
白い烟が立ちのぼる見ゆ 戸むしろに紅葉散り来る風ありて 小屋いっぱいに烟まわれり幽谷に風嘯いて黄紅葉が 苔踏んで行く我に降り来る ひら/\と散った一葉に冷めたい....
壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
一 寛政五年六月中旬の事であった。羽州米沢の典薬|勝成裕が、御隠居|上杉鷹山侯(治憲)の内意を受けて、一行十五人、深山幽谷に薬草を採りに分け入るという、その時代としては珍らしい計画が立てられた。 ....
棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
ない。 私はとき折りこの画室で松の園生の栄える夢をみたり霞の衣につつまれて深山幽谷に遊んでいる自分を夢みたりする。 私は毎朝冷水摩擦をかかさず行なっているが....
三枚続」より 著者:泉鏡花
頭小僧、召使、三十有余人を一家に籠めて、信州、飛騨、越後路、甲州筋、諸国の深山|幽谷の鬼を驚かし、魔を劫かして、谷川へ伐出す杉|檜松|柏を八方より積込ませ、漕入....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
和民族と闘って、或者は亡された、或者は山奥へ逃げ込んだ。其の逃げ込んだ奴等が深山幽谷の間に隠れて、世間普通の人間とは一切の交通を断って、何千年か何百年かの長い間....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
もなく治ってしまいました。三日目に馬は谷間の方から先に廻し、私達は世に謂う深山|幽谷というのは真にこういう所を言うのであろうというような恐ろしい深山幽谷の間を歩....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
とより一小丘に過ぎずといえども、全部岩石より成り、石間小径岐をなし、人をして深山幽谷に入るの思いをなさしむ。石径を攀じて山頂に達すれば、ここに望台あり。全市を一....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
ということは、この出家脱俗の徒の本領とするところであらねばならぬ。名僧知識が深山幽谷を跋渉して、魑魅魍魎の徒を済度し、山人猟夫の輩を教化したが如き噺は少からず伝....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
ことを言う。今はやめて居るにしても、昔からつい四五年前まで甲斐東方のあらゆる深山幽谷を跋渉し尽した彼は、猟銃をとっては名うての巧者である。眺望の好い場所を択んで....