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幽雅
「幽雅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幽雅の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白菊」より 著者:夢野久作
、左手で静かに扉を押した。 それは天井の高い、五|間四方ぐらいの部屋であった。
幽雅な近代風のゴチック様式で、ゴブラン織の深紅の窓掛を絞った高い窓が、四方の壁に....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
中さんに案内をされて、六角のように突き出た窓ぎわのソファに私は腰をかけて、美しい
幽雅な庭に見いっていた。青いカーテンを透かして、風までがすずやかにふくらんではい....
「マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
デモナやトスカや、悄々《しおしお》と敵将の前へ身を投《なげ》出すヴァンナの、あの
幽雅なものごしと可憐さを、自分の生れた国の女性に現せないのだろう、異国の女性に扮....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
中さんに案内されて、六角のように突き出た窓ぎわのソファーに私は腰をかけて、美しい
幽雅な庭にみいっていた。 蒼っぽいカーテンを通して、風までが高慢にふくらんでは....
「「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
端とも申すべき俗世界の世の中から、足一たびこの能楽の境域にはいりますと、そこには
幽雅な楽器が、わたくしたちの耳塵を払って鳴り響き、典麗高華な色彩や姿態が、鷹揚に....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
》あれども、鮮明にして清楚なる感覚を与ふる力あり。かかる色彩は畢竟《ひっきょう》
幽雅なる趣味性より発するものにして、吾人は一度《ひとたび》排列的なる色彩の絢爛《....
「妾宅」より 著者:永井荷風
》と手水鉢とが、如何に多く使用されているか分らない。かくの如く都会における家庭の
幽雅なる方面、町中《まちなか》の住いの詩的情趣を、専《もっぱ》ら便所とその周囲の....
「水のながれ」より 著者:永井荷風
う》越え行くや待乳山」の句を思出しても、むかし味ったようなこの辺《あたり》の町の
幽雅な趣を思返すことは出来ない。むかし待乳山の岡の下には一条《ひとすじ》の細い町....
「向嶋」より 著者:永井荷風
わたって向島の状況を知らしむるものである。明治三十一年の頃には向島の地はなお全く
幽雅の趣を失わず、依然として都人観花の勝地となされていた。それより三年の後明治三....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
造煉瓦造りは、ここに来たりてはじめて見る。壮大の寺院および博物館あり、また公園の
幽雅なるあり。夕六時、少雨来たる。 三日、晴れ。午前八時ベルゲンを発して、首府....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
して法悦に入るもののように思い做されやすくあります。また、そうすることこそ、高尚
幽雅な宗教のように取られやすいのであります。が、しかし、それは仏教で言う小乗的の....
「三国志」より 著者:吉川英治
子は牛をすすめて行く。導かれて、およそ二里ほど行くと、ちらと、林間の燈が見えた。
幽雅な草堂の屋根が奥のほうに望まれ、潺湲たる水音に耳を洗われながら小径の柴門を入....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
どうぞ此方へ。」と緬羊舎の方へ急いだ。 蔭の深い楡の二、三本の木立が、其処には
幽雅な雨霧をまだ梢の緑に保っていた。 何という完全な楡の象であったろう。楡ほど....