幾分[語句情報] » 幾分

「幾分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幾分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
満員ですから、特別に一等の料金で特等で焼いて上げることにしましょう。」 重吉は幾分か間の悪さを感じ、何度も事務員に礼を言った。事務員は真鍮《しんちゅう》の眼鏡....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
は前よりもいっそう機嫌《きげん》が悪くなった。これは一時でも市兵衛の計に乗って、幾分の好奇心を動かしたのが、彼自身ばかばかしくなったからである。彼はまずそうに煙....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
仰ぐほかはございません。私はその苦しみの中で、せめてはN家との縁談を断ってでも、幾分一身を潔《きよ》くしようと決心したのでございます。 ところがいよいよその運....
十円札」より 著者:芥川竜之介
粟野さんは五十を越しているであろう。色の黒い、近眼鏡《きんがんきょう》をかけた、幾分《いくぶん》か猫背《ねこぜ》の紳士《しんし》である。由来《ゆらい》保吉の勤め....
煙管」より 著者:芥川竜之介
よって、更によく満足させられる訳ではあるまいか。たまたまそれを河内山にやる際に、幾分外部の事情に、強《し》いられたような所があったにしても、彼の満足が、そのため....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
同じことを云った。それは予期していたよりも、気軽い調子を帯びたものだった。自分は幾分かほっとした気になり、彼等の枕もとに腰を下した。妻は乳を飲ませられぬために、....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
味のあることらしかった。のみならず時々僕の顔へ彼等の目をやる所を見ると、少くとも幾分かは僕自身にも関係を持ったことらしかった。僕は人目には平然と巻煙草を銜《くわ....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
と清国《しんこく》とが憎い。いや憎いものはまだほかにもある。私を兵卒にした事情に幾分でも関係のある人間が、皆私には敵と変りがない。私はそう云ういろいろの人間のお....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
の字町へ行ったとか聞いた時には別人のように怒《おこ》ったそうです。これもあるいは幾分か誇張があるかも知れません。けれども婆《ばあ》さんの話したままを書けば、半之....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
当然である。しかし、それにも関らず、彼の心からは、今までの春の温《ぬく》もりが、幾分か減却したような感じがあった。 事実を云えば、その時の彼は、単に自分たちの....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
おど》しに乗せられて、尻込みするような自分ではないと云う、子供じみた負けぬ気も、幾分かは働いたのであろう。本間さんは短くなったM・C・Cを、灰皿の中へ抛《ほう》....
将軍」より 著者:芥川竜之介
積中佐もほっとしながら、彼の周囲を眺め廻した。周囲にい並んだ将校たちは、いずれも幾分か気兼《きがね》そうに、舞台を見たり見なかったりしている、――その中にたった....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
はいる気かい?」 「だってせっかく来たんじゃないか?」 Mは膝ほどある水の中に幾分《いくぶん》か腰をかがめたなり、日に焼けた笑顔《わらいがお》をふり向けて見せ....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
猶太人」の服装を、大体ここに紹介するのも、読者の想像を助ける上において、あるいは幾分の効果があるかも知れない。ペックはこう云っている。「彼の上衣《うわぎ》は紫で....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
けの大発見が続いて出たのは、実に驚くの外はない。そのためもあろうが、ファラデーは幾分元気が衰えて来たように見えた。それゆえ以前ほどの勢いは無くなったが、それでも....