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「庇い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

庇いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
。 「では、何でござりまするか、御前はあ奴《やつ》が何者であるともご存じなくてお庇いなさったのでござりまするか」 「無論じゃ。無論じゃ。存じていたら身共とて滅多....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
れるのを見ると、 「方々、引き上げ! 引き上げ!」と叫ぶと、手を負うている吉川を庇いながら、先刻引き上げの用意に開いておいた裏口の方へ走り出した。 新一郎は、....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
とに相違ござりませぬ」 「売僧めッ、よくも化かしおッたなッ。道理で必死とあの女を庇いおッたわッ。スリを手先に飼いおる悪僧が衆生済度もすさまじかろうぞ。どうやら向....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ヤッ」 先頭に立っていた兄が、何か恐いものに怯えたらしく、サッと身を引くと私を庇いました。兄は天の一角をグッと睨んでいます。私は何事だろうと思って、兄の視線を....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
。どうして、まあ、よく、まあ、早う帰って下さいました、ねえ。 晃 (百合を背後に庇い、利鎌を逆手に、大勢を睨めつけながら、落着いたる声にて)ああ、夜叉ヶ池へ――....
愛よ愛」より 著者:岡本かの子
である。けれどもこの人の、いまの静けさに憎みを返す人があろうか。この人のわたしを庇い通した永い年月を他所ながら眺めてその人達も恨をおさめて居るに相違あるまい。も....
星女郎」より 著者:泉鏡花
、峰はずれに、火の矢のように、颯と太陽の光が射した。貴婦人が袖を翳して、若い女を庇いました。…… あの、鬼の面は、昨夜、貴下を罵るトタンに、婦を驚かすまいと思....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
うようにされた。庭師が異国のりっぱな植物を庇うように、父は母をあらゆる荒い風から庇い、母のおとなしい情深い心に楽しい感情をおこさせるものなら、なんでもそのまわり....
南国太平記」より 著者:直木三十五
れるの時じゃ。先刻、わしを、庇った時の働き、あの境を、よく味わってみい。わしを、庇い、且つ、月丸を、庇って、純一無類、それが、不偏|不倚《ふき》、無一無適の意《....
愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
。ふと見るとさっきの奥さんが、之も人に揉まれて、赤ン坊をつぶされまいと一生懸命に庇いながら、直ぐ私の傍へよろめいて来た。私は直ぐ自動車に乗る事に決めた。そうして....
唇草」より 著者:岡本かの子
てくれてもいいですよ。あなたがいくら嘘嫌いな聖女でも若いもののロマン性はお互いに庇い合いましょう」 私はこの時もあまり同感出来なかったが、彼の保証人になってい....
殺人迷路」より 著者:甲賀三郎
ながらうなずいた。そうだった。星田と山川牧太郎の指紋は確実に一致している。星田を庇いたいばかりに、真弓の言葉を真に受けかかったが、真弓は今はひどく頭が混乱してい....
清心庵」より 著者:泉鏡花
け、下に居らせて、女は前に立塞がりぬ。やがて近づく渠等の眼より、うたてきわれをば庇いしなりけり。 熊笹のびて、薄の穂、影さすばかり生いたれば、ここに人ありと知....
贋物」より 著者:葛西善蔵
くと灰色の細枝を空に向けている。右隣りの畠を隔てて家主の茅屋根が見られた。 雪庇いの筵やら菰やらが汚ならしく家のまわりにぶら下って、刈りこまない粗葺きの茅屋根....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
の懲らしめとしては、ただ、あなたさまがお捨てあそばした男の誠実と、あなたさまがお庇いになる者どもの卑しさとを、お悟りあそばすだけの、ただそれだけの罰を受け給えか....