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庇う
「庇う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
庇うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
……」 「そんな、貴女が悪いなんて、そんな事があるもんですか。」 と酒井の前を
庇う気で、肩に力味を入れて云ったが、続いて言おうとする、 (貴女がお世話なさいま....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
「まあ大分ひまが懸ったのね。さァ、こっちへお坐り。お父様がお待ちかねだよ」母親が
庇うようにして、弦三の席に刺身醤油の小皿などを寄せてやった。 「――」弦三は無言....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
度い願いは、なかなか絶ち難い。 左右の電車線路を眺め渡して、越すときだけ彼女を
庇うように片手を背後に添えていた逸作は、かの女がまるで夢遊病者のようになって「似....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
たたび―― 薄 それ、皆さん。 侍女等、身を垣にす。 朱の盤 姥殿、確り。(姫を
庇うて大手を開く。) 亀姫 大事ない、大事ない。 夫人 (打笑む)ほほほ、皆が花....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
ました。 後はどう来たか、恐い姿、凄い者の路を遮って顕るる度に、娘は私を背後に
庇うて、その鎌を差翳し、矗と立つと、鎧うた姫神のように頼母しいにつけ、雲の消える....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
ながら、学円の顔をみまもり、小家の内を指し、うつむいてほろりとする。) 学円 (
庇う状に手を挙げて、また涙ぐみ)御道理じゃ、が、大丈夫、夢にも、そんな事が、貴女....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
首を持って引摺出した。お嬢さんが縋りついて留めてたがね。へッ被成もんだ、あの爺を
庇う位なら、俺の頬辺ぐらい指で突いてくれるが可い、と其奴が癪に障ったからよ。自転....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
結び目のずるりと下った、扱帯の浅葱は冷たそうに、提灯の明を引いて、寂しく婦の姿を
庇う。それがせめてもの思遣りに見えたけれども、それさえ、そうした度の過ぎた酒と色....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
いやです、いやです、あなたはいやです。」 緋鹿子の片隅に手を添えて、小親われを
庇うて立ちぬ。国麿は目を怒らしたり。その帯は紫なり、その襯衣は紅なり。緋鹿子の座....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
草臥れでもしたようで、頭も脚もふらふらします。」 歩を移すのに引添うて、身体で
庇うがごとくにしつつ、 「ほんとに驚いたんですか。そういえば、顔の色もよくないよ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ッといって平伏した。声に応じて少年はかッぱと刎ね起きて押被さり、身をもってお雪を
庇う。娘の体は再び花の中に埋もれたが、やや有って顕れた少年の背には、凄じい鈎形に....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
かったのです。私はかえってそれを遺憾に思っている位です」 池内操縦士は、同僚を
庇うように昂然と言った。が、三枝はすっかり顔色を失って峻烈そのもののような署長の....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
ていたので、縛めから放たれた采女は早くも太刀をぬいた。小坂部も懐剣をかまえて男を
庇うように立った。先刻とおなじ闘いが再びここで繰り返されることになったが、何分に....
「山吹」より 著者:泉鏡花
)まあ、人形が泣くように、目にも睫毛にも雫がかかってさ。……(傘を人形にかざして
庇う。) 人形使 (短き暖簾を頭にて分け、口|大く、皺深く、眉迫り、ごま塩髯硬く....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
また四辺を※した。 「一体どんなものでございます。」とお杉は少年に引添うて、渠を
庇うようにして言う。 「私も更めちゃ見なかった、いいえ、実は見ようとも思わなかっ....