» 床しい

「床しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

床しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
一 ………それは小ぢんまりと出来上った、奥床しい門構えの家だった。尤《もっと》もこの界隈《かいわい》にはこう云う家も珍しく....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
れへ御放しになった、何羽とも知れない白鷺《しらさぎ》と申し、一つとして若殿様の奥床しい御思召《おおぼしめ》しのほどが、現れていないものはございません。 そう云....
婦系図」より 著者:泉鏡花
んなに沢山あるものを、」 「…………」 「失敬、」 あわや抜き出そうとする。と床しい人香が、はっと襲って、 「不可ませんよ。」と半纏の襟を扱きながら、お蔦が襖....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
その気で、席へ腰を掛直すと、口を抜こうとした酒の香より、はッと面を打った、懐しく床しい、留南奇がある。 この高崎では、大分旅客の出入りがあった。 そこここ、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
あ、可え。」 「ちっとも可かあない、」 と訓導は唾をする。 「それにしても、奥床しい、誰が突いた毬だろう、と若え方問わっしゃるだが。 のっけから見当はつかね....
三枚続」より 著者:泉鏡花
ねばならぬ。 その上にいかなればしかするかの理由を説明したら、ますます鴨川の奥床しい用意のほどが知れるであろう。 紋床でも噂があった、なおこの横町を馬車新道....
天守物語」より 著者:泉鏡花
映った。影が、結んだ玉ずさのようにも見えた。――夜叉ヶ池のお雪様は、激いなかにお床しい、野はその黒雲、尾上は瑠璃、皆、あの方のお計らい。それでも鷹狩の足も腰も留....
古狢」より 著者:泉鏡花
川に向っているが、すぐ磧で、水は向う岸を、藍に、蒼に流れるのが、もの静かで、一層床しい。籬ほどもない低い石垣を根に、一株、大きな柳があって、幹を斜に磧へ伸びつつ....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
かで、鼻を衝く、鬱陶しい巴の紋も、ここへ来ると、木曾殿の寵愛を思い出させるから奥床しい。」 と帯を解きかけると、ちゃぶり――という――人が居て湯を使う気勢がす....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
惚となる。) 椿 姫様。 姥 もし、御前様。 白雪 可懐しい、優しい、嬉しい、お床しい音信を聞いた。……姥、私は参るよ。 姥 たまたま麓へお歩行が。 椿 もうお....
雪柳」より 著者:泉鏡花
さんざ浮かれた折ばかり、酔いしれるとは限りません。はかない、悲しい、あるいは床しい、上品な唄、踊、舞を見て、魂とともに、とろとろに酔って行く。……あの体で。....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
とそのすんなりした背に崩込んで、空色地に雪間の花を染模様の帯のお太鼓と、梅が香も床しい細りした襟脚の中へ、やたらに顔を押込んで、ぐたりとなった。 「襟脚の処が三....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
まれかわって、小いろの一つも持った果報な男になったろう。……糸も、紅糸は聞いても床しい。」 「それどころじゃありません。その糸から起った事です。千五百石の女※で....
幼き頃の想い出」より 著者:上村松園
或いは高家の隠居が愛用して居た莨入だとか、そういったトリヴィアルなものに、特殊な床しい美が発見されるのです。そこにも又尊い芸術の光、古典の命が潜んで居ます。適切....
京のその頃」より 著者:上村松園
う。 紅は矢ッ張り、上唇には薄紅く下唇を濃く玉虫色にしたところに何とも言えない床しい風情がある。そんな紅のつけ方など時たま舞妓などに見るくらいになってしまった....