序の口[語句情報] » 序の口

「序の口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

序の口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
うだろう。どうだえ、みんな、そろそろこわくなりゃしねえかえ。こりゃほんの右門流の序の口よ。ドスが出てきたからにゃ、下手人もおまえら十八人のうちにいるにちげえねえ....
笑う唖女」より 著者:夢野久作
升五合入の三組の大盃を廻わしている。皆相当酔っているとはいうものの、まだ、ほんの序の口といってもいい座敷であった。 縁側の障子際《しょうじぎわ》に坐っている仲....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
つは、私の身に秘めた大事なのですが――。」 と、口をひらいた。 夏といっても序の口なのに、高山《やま》の暦は早い。沈黙が部屋に落ちると、庭に取り入れたうら山....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
も灯する頃より夜と共に興|闌なるがつねだ。彼の銀燭に蝋燭の火ざし華やかに、番組も序の口を終ったほどから、聴衆も居ずまいを直して耳傾くれば、お師匠さんの身の入れ方....
罠を跳び越える女」より 著者:矢田津世子
己惚ちゃ駄目よ。私達に残された仕事は、まだまだうんとあるんだから……これがほんの序の口よ。……じゃ、私、これから行って京橋きめてくるわ。」 祥子の額にたれかか....
東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
つあったがためでもあろうか。その辺しかとはわからぬが、とにかく蹴鞠は公家の真似の序の口で、大名もやれば堺辺の富有な商人もやった。しかしてこれをやるものは必ず大い....
夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
怖ろしいことをやっている筈なのだ。 しかも、かほどのことも、まだヒメにとっては序の口であろう。ヒメの生涯に、この先なにを思いつき、なにを行うか、それはとても人....
恋愛論」より 著者:坂口安吾
ず、欲しいものは手に入らず、概してそういう種類のものであるが、それぐらいのことは序の口で、人間には「魂の孤独」という悪魔の国が口をひろげて待っている。強者ほど、....
中庸」より 著者:坂口安吾
」 「はッはッは。今日のことでは一文も村費は使っていませんぜ。これぐらいは、まだ序の口さ。あのあばずれやその同類を村から叩きだすためなら、根作なぞは自慢の馬を売....
雪の宿り」より 著者:神西清
雲の橋の北と西とが悉皆焼け滅んだとのことでございます。 さりながらこれはほんの序の口でございました。住むに家なく、口に糊する糧もない難民は大路小路に溢れており....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
警戒というものは蟻の出入口もないほどの堅固なもの。鉄砲という新兵器への断圧などは序の口で、大きな河には橋を造らせず、渡し舟まで禁じるという警戒万全主義であるから....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
あなたは凄い」 「いや、それほどでもない、まだあとがあるんだ。ここまでは、ほんの序の口。……それはそうとあの都鳥を、お前、なんと見た」 「ですから、日本で織って....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
君を拝見しないことにはお話にもなにもなりませんですからね、それでこうして、第一番序の口にあがったというような次第なんです」と、廻らぬ舌を必死に操《あやつ》りなが....
私本太平記」より 著者:吉川英治
わけ。さきの後朝を忘れてか」 灯は新しく、酒は美味い秋の宵である。まだ無礼講も序の口なのに、どんなわるさを始めたのか、はやくも、片隅の方では、きゃっと、くすぐ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ら、俄にまた、退き鉦とは」 「わが将軍(尊氏)も、臆し過ぎる」 「これほどな戦、序の口、二百や三百の兵が打たれたとて、そのたびに退き鉦を鳴らしていたら、しょせん....