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底冷え
「底冷え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
底冷えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
あとなので、ことさら世の中が暗澹《あんたん》と見えた。雪でもまくしかけて来そうに
底冷えがするので、葉子は茶の間に置きごたつを持ち出して、倉地の着がえをそれにかけ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
そくびら》きのために、三日後の今夜に繰り延べられたのであった。 春とはいっても
底冷えのする日で、おまけに雪さえ落ちて来たので、遠くもない堀田原まで行くのさえ気....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
行って、すぐに家に帰ろうとしたが、また思い返して入谷田圃へ足を向けた。雪あがりの
底冷えのする日で、田圃へ出る頃にはすっかり暮れてしまった。お荷物になる傘をさげて....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
心になって行くのだ、その恐ろしい企図とは自殺する事なのだ。 君の心は妙にしんと
底冷えがしたようにとげとげしく澄み切って、君の目に映る外界の姿は突然全く表情を失....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ハゴザイマセン。 「深夜の市長」に始めて会ったのは、陽春とは名ばかりの、恐ろしく
底冷えのする三月二十九日の夜のことだった。 ラジオの気象通報は、中国大陸にあっ....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
が訪れていた。 「どかんと一発撃てば、それでもう、三十円丸儲けさ」 夜になると
底冷えがするので、もう小さな達磨ストーブを入れた酒場では、今夜もまた女の愚痴話が....
「河明り」より 著者:岡本かの子
崎川の水に沿った堺屋のもとの私の部屋にいる。日本の冬も去って、三月は春ながらまだ
底冷えが残っている。河には船が相変らず頻繁に通り、向河岸の稲荷の社には、玩具の鉄....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
すからいつでも遊びにいらっしゃいと云ってくれた。 その次の日曜日は陰っていた。
底冷えのする日で、なんだか雪でも運び出して来そうな薄暗い空模様であったが、わたし....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
土地は仕合せだな。」 こう云いながら、わたしは梅と寒菊とを書斎の花瓶にさした。
底冷えのする宵である。(十二月二十三日) この二、三日は馬鹿に寒い。けさは手水....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
其処に転がっている自然石の端と端へ二人は腰を下ろした。夏の朝の太陽が、意地悪に
底冷えのする石の肌をほんのりと温め和めていた。二人は安気にゆっくり腰を下ろして居....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
世界では、どんな山坂を登り降りしても格別疲労は感じませぬが、しかし何やらシーンと
底冷えのする空気に、私は覚えず総毛立って、躯がすくむように感じました。 『お爺さ....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
如何さま富有な植木屋が朝顔作りとしか、思われない。 その日は三月三日――いやに
底冷えがして、いつか雪でも催しそうな空合だった。が、そのような宵節句にお定まりの....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
るときは母親が酔いすぎて大概泣いている。焙き出したばかりの暖炉の前で加奈子が土の
底冷えをしみじみ床を通して感じた独逸の思い出である。 まだ子供とはいいながら日....
「十番雑記」より 著者:岡本綺堂
い土地は仕合せだな。」 こういいながら、わたしは梅と寒菊とを書斎の花瓶にさした。
底冷えのする宵である。 (十二月二十三日) 三 明治座 この二、三日....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
に就いたなり再び立つことができず、遂に果無い最期をとげてしまったという。 実は
底冷えする車のなかで、前には笑いばなしとして聞き過したその話を思い出して、私は別....