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「底無し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

底無しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
骨董」より 著者:幸田露伴
古いものを称することになったのである。なるほど韓駒の詩の、「言う莫かれ衲子の籃に底無しと、江南の骨董を盛り取って帰る」などという句を引いて講釈されると、そうかと....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
だろうか。農民が都会から家庭に帰郷することによって、都市の失業は農村家庭の赤貧の底無し沼の内に、吸収されて行く。「都会には職はありません」というポスターは、失業....
三郎爺」より 著者:宮本百合子
もう二度と「今日様」は拝めなかったろう。底の石が断崖になって、それから先はまるで底無しのようである。 尺度を支えに張って、そーっと覗いた三郎は、つい身ぶるいを....
モスクワ印象記」より 著者:宮本百合子
した木下闇の感じだ。深い。然し上へ向って深い。ロシア民族の持つ深さは、下へ向って底無しの深さだ。例えば、罰金のがれに巡査をうまく撒いたニキーツキー門のりんご売の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
《てい》で詫《わ》び入るのだから、この武士の堪忍力の強さと言おうか、意気地なしの底無しと言おうか、それに兵馬は呆《あき》れながら、 「お人違いとあらばぜひもござ....
連環記」より 著者:幸田露伴
確かな脚取りを以て進むように、次第次第に悪い方へのみ進んだ。其の到着点の死という底無しの谷が近くなったことは定基にも想いやられるようになったし、力寿にもそれが想....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
あぶく銭、いくらあるか知らないが、あの女の勝負事に使った日には、いくらあったって底無し穴へ投げ込むようなもので、遠からず、また壁へ馬を乗りかけるのは知れている。....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
るのでした。『誰人も迎えに来てくれるものはないのかしら……。』私はまるで真暗闇の底無しの井戸の内部へでも突き落されたように感ずるのでした。 ほとんど気でも狂う....
狼疾記」より 著者:中島敦
活の無内容さが彼の中に洞穴をあけてしまったのか。それは先刻記憶から喚起した・あの底無しの不安とは全然違う。腑抜けとなり、不安も苦痛も感じなくなったような麻痺状態....
剣侠」より 著者:国枝史郎
いる『今は変わって千の馬、五百の馬の馬飼の……それから少し間が切れて――秣の山や底無しの、川の中地の岩窟の……という文句を知っている。そこへわしの外にもう一人、....
魔法探し」より 著者:豊島与志雄
待ってやるから、それまでに答えをせよ。もし三日の間に答えられなかったら、この池は底無しの池だから、この中に身を投げて死んでしまえ。はっきり答えられたら、お前の望....
決闘」より 著者:神西清
コヂーム・アレクサンドルィチの両鬢の髪や、カーチャの真紅な頬と一緒くたになって、底無しのとてもやりきれぬ欝陶しさとして押し寄せるのであった。彼は危うく悲鳴を上げ....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
見ていた。 与惣次は眠った。夏の夜の更け行くままに、昏々として彼は眠り続けた、底無しの泥沼へ沈むような、自力ではどうすることもできない熟睡であった。 暗黒《....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
降りて、その円弧の端が触れると、 じゅうである。 そのまま、じいいい……と、底無しに喰い入り、圧しつけ、放して、すうっと空へまた十二、三吋あがると、流るる胴....
墓場」より 著者:西尾正
ていたが、 「海底のどくろといえば、恐らく三浦ファミリイの霊魂が恨みをこめてその底無しの壺に住んでいるにちがいない。日本人は魔物を信じますか? 得体の知れぬ魔物....