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「庖厨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

庖厨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
く刺激した。 葉子は自分で貞世の食事を作ってやるために宿直室のそばにある小さな庖厨《ほうちゅう》に行って、洋食店から届けて来たソップを温《あたた》めて塩で味を....
狐の手帳」より 著者:田中貢太郎
て、行灯の灯口を向けながらまた老婆を呼んだ。 「姨さん、姨さん」 茶の間の次の庖厨の室から睡そうな声が聞えた。 「姨さん、気の毒だが、ちょと起きてくださいよ」....
花の咲く比」より 著者:田中貢太郎
見ると、女は蒼白い顔を男の方に向けて、気もちよさそうに眼をつむっていた。 侍は庖厨の方へ往って、其処から庭におりて手水をつかい、それが済むとそのあたりの戸を静....
地獄の使」より 著者:田中貢太郎
た。彼女はお茶を一ぱい飲んでちょっと休み、それから夕飯の準備にかかろうと思って、庖厨の庭から入り、上にあがろうとすると、椀へ入れた黍の餅が眼に注いた。黄色な餅の....
化鳥」より 著者:泉鏡花
勝手放題な道楽をする。夜中に月が明い時、寺の門を叩いたこともあったそうだし、人の庖厨へ忍び込んで、鍋の大いのと飯櫃を大屋根へ持って、あがって、手掴で食べたことも....
南北の東海道四谷怪談」より 著者:田中貢太郎
見つかるまではと云って夫婦にならずにいるところであった。お袖はやがて夕飯の準備に庖厨へ往った。直助は其の間に質屋へ往くべく門口へ出た。と、其の時傍の盥に浸けてあ....
怪談覚帳」より 著者:田中貢太郎
庄屋は此の畜生、おれの女房をなぐさむつもりかも判らないぞと、外から縁側へあがって庖厨の障子の破れから覗いて見ると、狸は女房と話をしておる。其の時女房は狸に、 「....
海坊主」より 著者:田中貢太郎
はそれにも見向きもしなかった。女房は鬼魅わるくなって、金を持ったまま後すざりして庖厨の方へ引込んで往ったが、怕くて脊筋から水でもかけられたようにぞくぞくして来た....
ふるさとに寄する讃歌」より 著者:坂口安吾
がはいった。耳寄りなニュースに、港の隆盛を町の人々が噂した。私は裏町に、油くさい庖厨の香を嗅いだ。また裏町に、開け放された格子窓から、脂粉の匂に噎んでいた。湯垢....
米国巡回文庫起源及び発達」より 著者:佐野友三郎
間断なき無月謝の学校にして、老幼男女に鼓吹と教訓と娯楽とを与えしかもその課程は、庖厨にある妻君にも、田圃にある農夫にも、工場にある職工にも、学校にある教師にも、....
手長と足長」より 著者:喜田貞吉
。一段と低級に見られた民族が、コックの役を勤めるのは今も例が多い。支那でも君子は庖厨を遠ざくとあって、料理番はあまり名誉の職ではなかった。我が古代でも内膳司の長....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ございますから、そんなに大きくもありませんが、かなりに広い客室と書室、下僕部屋と庖厨都合四室ございます。まず花の沢山置いてある庭の間を通ってその宅に着きますと、....
女賊記」より 著者:田中貢太郎
ったが、なんの手答えもなかった。彼は狂人のようにその辺を切って廻った。 「板女」庖厨の方に明るい処があった。藤枝は不審に思って入って往った。宵に締めてあった裏口....
春心」より 著者:田中貢太郎
土蔵の右の端の口へ往って立っていた。お高の頬はつやつやしていた。お高の眼は物置と庖厨の間になった出入口へ往っていた。と、十七八の色の白い小生意気に見える小厮が土....
黄灯」より 著者:田中貢太郎
燈がさがっていた。主翁はその電燈の球をちょと見た後で、右側をちらと見た。そこには庖厨の方へ出て往く障子があった。障子には二処三処穴が開いて暗い燈影がそれにかかっ....