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店先
「店先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
店先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
った。二月ほど前に彼の売った手垢《てあか》だらけの「ツアラトストラ」だった。彼は
店先きに佇《たたず》んだまま、この古い「ツアラトストラ」を所どころ読み返した。す....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
で、ある夕方私が散歩かたがた、本願寺別院《ほんがんじべついん》の裏手にある本屋の
店先を覗いて見ますと、その頃評判の高かった風俗画報と申す雑誌が五六冊、夜窓鬼談《....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
しり右左の棚の上に、メリヤス類のボオル箱を並べた、手広い店になっている。――その
店先の雨明《あまあか》りの中に、パナマ帽をかぶった賢造は、こちらへ後《うしろ》を....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
いる車夫の手へ、方外《ほうがい》な賃銭を渡す間も惜しいように、倉皇《そうこう》と
店先の暖簾《のれん》をくぐりました。
泰さんは新蔵の顔を見ると、手をとらないば....
「夢」より 著者:芥川竜之介
シャツ一枚になった職人が二人せっせとアイロンを動かしていた。わたしは格別急がずに
店先の硝子戸をあけようとした。が、いつか硝子戸にわたしの頭をぶつけていた。この音....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《かなづち》の音が高く響くと疲れ果てた彼れの馬さえが耳を立てなおした。彼れはこの
店先きに自分の馬を引張って来る時の事を思った。妻は吸い取られるように暖かそうな火....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ね。」 「人を馬鹿にしていらっしゃる。」 と、さしむかいの夫人の衣紋はずれに、
店先を覗いて、 「やあ、甘酒がある……」 十一 「お止しなさいよ。....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ストアの臨時出店が開かれようとしている。藁屑や新聞紙のはみ出た大きな木箱が幾個か
店先にほうり出されて、広告のけばけばしい色旗が、活動小屋の前のように立てならべて....
「転機」より 著者:伊藤野枝
で建てたような小屋がある。腐りかけたような蜜柑や、みじめな駄菓子などを並べたその
店先きで、私はまた尋ねた。 小屋の中には、七十にあまるかと思われるような、目も....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
頓興にいった、婆の声の下にくすくすと笑うのが聞える。 「婆ちゃん、おくんな。」と
店先で小児の声、繰返して、 「おくんな。」 「おい。」 「静に………」といって、....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
本橋|馬喰町の近くには、秩父屋という名高い凧屋があって、浅草の観音の市の日から、
店先きに種々の綺麗な大きな凧を飾って売り出したものであった。昔は凧の絵の赤い色は....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
った。番頭さんの被仰るには、こいつは、見掛けが野呂間だから上客の側へは出せない。
店先の仕事をさせよう。
店先の袢天著は取付き易いが、わけのわからぬことをくどくど喋....
「競馬」より 著者:犬田卯
も、金と名のつくものなら何でも買入れていることを彼は知っていたのだ。 塚田屋の
店先へ行ってみると、四五人の百姓と一人の巡査がいた。巡査は今の今、誰かに呼ばれて....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
その若旦那様は何時も『不在』。たとい広い邸宅の奥の方に姿が見えたにしても、決して
店先へなど現れず、依然として『不在』なのである。先代時分には何憚るところなく、奥....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
み込んで提げたは可いが、汝が家の燃えるのに、そいつを消そうとするんじゃないんで。
店先に込合っている大勢の弥次馬の背後へ廻って、トねらいをつけて、天窓ともいわず、....