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度盛
「度盛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
度盛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
暗くともっていた。熱度を計った医員は一度一度そのそばまで行って、目をそばめながら
度盛《ども》りを見た。
その夜苦しみ通した葉子は明けがた近く少し痛みからのがれ....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
翳《かざ》して二三度やけに振りながら、 「何だって、そんな余計な事を云うんだ」と
度盛《どもり》を透《すか》して見る。先生の精神は半ば験温器にある。浅井君はこの間....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
《とし》の点に至ると、敬太郎にはとかくの判断を下しかねた。けれどもその人が寿命の
度盛《どもり》の上において、自分とは遥《はる》か隔《へだ》たった向うにいる事だけ....
「道草」より 著者:夏目漱石
》の下に験温器が宛《あて》がわれた。 「熱が少し出ましたね」 産婆はこういって
度盛《どもり》の柱の中に上《のぼ》った水銀を振り落した。彼女は比較的言葉|寡《ず....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
のを除《の》けてくれた。 見ると、ただ輪郭のぼんやりした明るいなかに、物差しの
度盛りがある。下に2の字が出た。野々宮君がまた「どうです」と聞いた。「2の字が見....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
づける日時計である。後者は一本の垂直な棒の下へその棒と同長の半径を有する凹半球に
度盛をした盤を置いたものである。水時計は水かあるいは他の液体が大きな容器から一つ....
「黴」より 著者:徳田秋声
るほどに接近して来た。 ある晩方年始の礼に来た山内は、ぐでぐでに酔っていた。一
度盛んに売り出したことのある山内は、不謹慎な態度から、そのころ一部の人の反感を受....
「花物語」より 著者:寺田寅彦
うに考え込んでいるが、いよいよ自分の番になると急いで出て来て器械をのぞき、熱心に
度盛りを読んでいるが、どういうものか時々とんでもない読み違いをする。ノートを控え....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
だ、咽喉から下全部を、一つの袋か壜の類と見なした言葉だと思う、そしてボタンはその
度盛りである。 私が子供の時に考えていた腹の構造とあまり大差はなさそうだ、さよ....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
見出されねばならぬ。科学の技巧水準ではなくて、科学の文化水準が科学の文学的意義の
度盛りなのだ。新しい科学が台頭するとか、新しい研究領域が開拓されているとかいうこ....
「家庭の人へ」より 著者:寺田寅彦
々のもののように感じられることもあるらしい。そのせいでもあるまいが、体温計とその
度盛はたいそう大事がられ、風呂場の寒暖計はひどく虐待されるようである。 話は横....
「喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
夜|更けて天文の観測をやらされた時など、暦表を繰って手頃な星を選み出し、望遠鏡の
度盛を合わせておいて、クロノメーターの刻音を数えながら目的の星が視野に這入って来....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
子供は案外シッカリしているということを銘記する必要がある。親が酔っ払ってたった一
度盛り場へ行くと忽ち怪人物の招請に応じて後々大後悔に及ぶ憂い甚大であるが、子供は....
「葛根湯」より 著者:橘外男
。 「何?」 と思わず私も折り重なって体温計を透かして見たが、不思議なるかな、
度盛りは確かに三十九度を示している。急いで当人の額へ手をやってみると、なるほど火....
「それから」より 著者:夏目漱石
肌着も単衣《ひとえ》も悉《ことごと》く改めて気を新《あらた》にした。外は寒暖計の
度盛の日を逐《お》うて騰《あが》る頃であった。歩いていると、湿っぽい梅雨《つゆ》....