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座布団
「座布団〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
座布団の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「過古」より 著者:梶井基次郎
した。電報配達夫が恐ろしかった。 ある朝、彼は日当《ひあたり》のいい彼の部屋で
座布団を干していた。その
座布団は彼の幼時からの記憶につながれていた。同じ切れ地で....
「家霊」より 著者:岡本かの子
て頂きましょうかな」 と言って、表障子をがたがたいわして入って来た。 小女は
座布団を出してはやらないので、冷い籐畳の広いまん中にたった一人坐った老人は寂しげ....
「思い出の記」より 著者:小泉節子
ふれた一本を抜き出しまして、必ず始めにちょっと吸口と雁首とを見て、火をつけます。
座布団の上に行儀よく坐って、楽しそうに体を前後にゆるくゆりながら、ふかして居るの....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
襲葬送曲 磯崎神社前の海辺に組立てられた高さ五十尺の櫓の上には、薄汚れた一枚の
座布団を敷いて、祖父と孫とが、抱き合っていた。 「三ちゃんや、まだ何にも見えない....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
七八センチもあろうと思われる大きい銀玉が載っていた、その銀玉は、黒縮緬らしい厚い
座布団を敷いて鈍い光を放っていた。どうやら煙草の錫箔を丹念に溜めて、それを丸めて....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
んか。見渡せば、お部屋の中は大変な有様で、旦那様もかなり抵抗なさったと見え、枕や
座布団や火箸なぞがところかまわず投げ出されているのでございます。…… ――さア....
「食魔」より 著者:岡本かの子
に対して内証の隠事をしている気持が出て来て、永くは見廻していられなかった。彼女は
座布団を置き、傍にビール罎を置くと次の茶の間に引下りそこで中断された母子の夕飯を....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
はいそいそ出迎えて呉れる。私達の部屋より表門に近い氏の部屋へ氏は主人をまず招じて
座布団をすすめ、洗面器へ冷水を汲み、新らしいタオルを添えるなど、この気の利かない....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
安来節のようなのを小声で歌いながら、チリ紙を持って入ってきた。そしてそこにあった
座布団を二つに折ると××××(以下略) 龍介はきゅうに心臓がドキンドキンと打つ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
申上げたとおり、私は小娘に導かれて、あの華麗な日本間に通され、そして薄絹製の白の
座布団を与えられて、それへ坐ったのでございますが、不図自分の前面のところを見ると....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
の負けだ)貝十郎はキョトンとした心で、むしろ憂欝と不安とを抱いて、柱へ背をもたせ
座布団を敷き、出された酒肴へ手をつけようともせず、彼の左右で雑談している、人々の....
「火の扉」より 著者:岸田国士
生にわるいから……」 康子は、すこしはしやいで、そんなことを言いながら、奥から
座布団をもちだし、 「あがつていたゞかないわ。まあ、ちよつとこゝへおかけになつて....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
あけ荷、衣桁、衣裳、鬘、丸型朱塗りの大鏡台、赤を白く抜いた大入り袋、南京繻子の大
座布団、ひらいたままの草双紙、こういった物が取り乱されてあったが、女太夫の部屋だ....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
ございます。ご覧なさりませ、天国と、箱書きしてございます」 と云い、緞子の厚い
座布団の上へ坐り、蒔絵の脇息へ倚っている、父親の顔を見た。 薪左衛門は、その卯....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
「うむ、そうかい」 聞いているうちに、いつか京伝の膝は、火桶を脇へ突きのけて、
座布団の上から滑り落ちていた。 「よく読んだの」 「はいおかげさまで。……」 「....