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延引
「延引〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
延引の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
ゆかない。第一に親類の苦情が面倒である。それらの事情に妨げられて、今まで身請けを
延引《えんいん》していたのであったが、こうなると知ったらば半年まえに思い切って身....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
心《したごころ》があったのであるが、自分の傍《そば》を手放すのが惜しさに、自然|
延引《えんいん》して今日《こんにち》まで打ち過ぎていたのである。この際、本人の望....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
よりのぶ》の両卿を、とりかわせ給うにより、先手|軍《いくさ》を始めることしばらく
延引し、馬をば一、二町も退け、人々馬より下り、槍を手にし重ねての命を待つべし」と....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
》みに出る筈でございましたが、かぜを引いて小半月も寝込んでしまいまして、ついつい
延引いたしました」 用意して来た線香の箱に香奠《こうでん》の紙包みを添えて出す....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
息はその後御催促には見えませんか」 「はい」 「どうも思うように出来ないので甚だ
延引、なんとも申し訳がありません」と、澹山は小鬢をかいた。「頼まれたお方が余人で....
「思い出の記」より 著者:小泉節子
病院に入れて治療するようにと親に頼みましたが、宿の主人は唯はいはいとばかり云って
延引していましたので『珍らしい不人情者、親の心ありません』と云って、大層怒ってそ....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
に似せたる面を作れと、絵姿までも遣わしておいたるに、日を経るも出来せず、幾たびか
延引を申し立てて、今まで打ち過ぎしは何たることじゃ。 五郎 多寡が面一つの細工、....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
。したがって判決の先例がないので、奉行所でもその処分に苦しんで、その七月まで落着
延引しているうちに、賊は七月八日に牢死した。伝えるところによると、奉行所では遠島....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
審判事の取調べも受けた。そんなわけで、九月の学期が始まる頃になっても、僕は上京を
延引しなければならないことになった。 十月になって、僕はいよいよ上京したが、彼....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
になりましたので、今年は是が非でも上納申し上げねばと、心に定めました。そして永年
延引のおわびには非常なる力作をお納め申し上げねば相すまぬと心に存じました。丁度三....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
懇意になって置きたいと思っていたんだが、いろいろ野暮な用があったので、きょうまで
延引してまことに済まなかった。なにしろ、今夜はよく来てくれた。おれ達のようなケチ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
は知れてあるが、さて其のひとり娘をむざと手放すのが惜しゅうてのう。ついそのままに
延引していたが、親の子煩悩が仇となって、あたら花盛りをやみやみと過ごさするもまた....
「迷信解」より 著者:井上円了
わち、太宗出陣のときにある人いさめて、「今日は往亡日とてはなはだ不吉の日なれば、
延引あるべし」と申し上げたれば、「われ往きて彼|亡ぶる日なれば、心配するに及ばず....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
女の敵が痛い目とともに思い知ったとおりである。振り子が右や左に揺れた幾年かの後、
延引がゴマ塩頭に年取ったとき、待ち遠しさが鞘のなかに萎み込んだとき、そうした終局....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
世を見捨ててはならないように想われたのだ。そのためこのみじめな、実際みじめな生を
延引して、この不安定な肉体を――ほんのちょっとした変化によっても私を最善の状態か....