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延板
「延板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
延板の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
番大きくて、二ノ池がこれに次ぐ。
青色光の強い水が、濃厚に嵩《かさ》を持って、
延板《のべいた》のように平たく澄んでいる、大岳の影が万斤の重さで圧《お》す、あま....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
線を襲うのは昔し象嵌《ぞうがん》のあった名残でもあろう。猶内側へ這入《はい》ると
延板《のべいた》の平らな地になる。そこは今も猶鏡の如く輝やいて面にあたるものは必....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
候。その苦心のほどを聞く処によれば、適当の銅板なきために、自ら槌《つち》を振つて
延板を作り、以て銅板の素地を作り候由、蝋《らふ》を使用する代りに、漆《うるし》を....
「黒点」より 著者:豊島与志雄
なかった。火鉢の前に坐って何か調べ物を初めた。 箪笥の下の方の片隅に、黒い鉄の
延板がやたらに打ちつけてあって、そこに、手文庫代りの小さな抽出が幾つもついていた....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
にわかの転調が、音の反射が、空の暗黒をうがって、蒼白《そうはく》な海の上に、光の
延板のように落ちてくる。それが終わりである。殺戮《さつりく》の天使の猛然たる飛翔....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
り、どこからともなくさしてきて、濃い影の中に落ちていた。クリストフはそれらの光の
延板から昏迷《こんめい》された。周囲はすっかり闇夜のようだった。脹《ふく》れ上が....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の家の入り口は中庭に面している。その扉《とびら》には、ゴティック式錠前のりっぱな
延板《のべいた》のわきに、斜めにつけられた三葉|※形《わんけい》の鉄の柄がある。....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
も立てずにどんよりと、流れるともなく流れている、そういう水面には月光ばかりが銀の
延板のそれかのように、平らに輝いているばかりであった。 川巾は随分広かった。 ....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
の長く身にまとひたる衣服の着様《きざま》を見るに腰と腿のあたりにて宛《さなが》ら
延板《のべいた》を当《あて》たる如くに狭く堅く引締められ下の方に行くに従ひて次第....