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弁当
「弁当〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弁当の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
制服を着て、外套《がいとう》を巻いて左の肩からかけて、麻のゲエトルをはいて、腰に
弁当の包《つつみ》やら水筒やらをぶらさげている。
能勢は、自分と同じ小学校を出....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
斜面を。勿論当時の神保町通りは電車も馬車も通じなかった。彼は――十二歳の小学生は
弁当やノオト・ブックを小脇《こわき》にしたまま、大橋図書館へ通う為に何度もこの通....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
」
「あのいつも腰に下っている、白い手巾《ハンカチ》へ包んだものは、毛利先生の御
弁当じゃないんですか。」
「毛利先生が電車の吊皮《つりかわ》につかまっていられる....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
すなはま》へ行った。これは珍らしいことではない。彼は一月五円の貸間と一食五十銭の
弁当とにしみじみ世の中が厭《いや》になると、必ずこの砂の上へグラスゴオのパイプを....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
。
「あなた、けさの新聞を読んで?」
「うん。」
「本所《ほんじょ》かどこかのお
弁当屋《べんとうや》の娘の気違いになったと云う記事を読んで?」
「発狂した? 何....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
うに空の奥の奥まで見すかされそうに霽《は》れわたった日でした。僕達は先生と一緒に
弁当をたべましたが、その楽しみな
弁当の最中でも僕の心はなんだか落着かないで、その....
「星座」より 著者:有島武郎
く往来していた。道庁から退けてきた人、郵便局、裁判所を出た人、そう思わしい人人が
弁当の包みを小脇に抱えて、園とすれちがったり、園に追いこされたりした。製麻会社、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ない、事を云って、けろりとして、 「静岡は口の奢った、旨いものを食う処さ。汽車の
弁当でも試たまえ、東海道一番だよ。」 主税はどこまでも髯のある坊ちゃんにして、....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
がみつきながら、長い帆柱を左右前後に振り立てている。そのそばに、さまざまの漁具と
弁当のお櫃とを持って集まって来た漁夫たちは、言葉少なに物を言いかわしながら、防波....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
るしい迄にあざやかに染めて、其の総てを真夏の光が、押し包む様に射して居る。丁度昼
弁当時で太陽は最頂、物の影が煎りつく様に小さく濃く、それを見てすらぎらぎらと眼が....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
かとした可い日和の、午前十一時半頃、汽車が高崎に着いた時、彼は向側を立って来て、
弁当を買った。そして折を片手に、しばらく硝子窓に頬杖をついていたが、 「酒、酒。....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
無茶に減った。) と、いきなり卓子の上の風呂敷包みを解くと、中が古風にも竹の子
弁当。……御存じはございますまい、三組の食籠で、畳むと入子に重るやつでね。案ずる....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
参宮を志し、霞とともに立出でて、いそじあまりを三河国、そのから衣、ささおりの、安
弁当の鰯の名に、紫はありながら、杜若には似もつかぬ、三等の赤切符。さればお紺の婀....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
、情けない声をしぼって哀れを訴えた。また、正午の野良で、一株の木のまわりに集って
弁当をつかっている百姓の一団を見かけると、一片の麪麭をねだった。そして二人は、溝....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
降出したらしいのですが、さすが引返すでもなかった。家数四五軒、佗しい山間の村で、
弁当を使った時、雨を凌いで、簀の子の縁に立掛けた板戸に、(この家の裏で鳴いたり時....