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「弄び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

弄びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
《ほう》り出した。 「けれども貴方《あなた》、私には稚市《ちごいち》が、一つの|弄び物《ジュージュー》としか見えないのでございます。ああ、|弄び物《ジュージュー....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
ウム!」とエレンが、小さい鋭い声で反抗した。 むす子はエレンが内懐から取出して弄び始めようとしたカルタを引ったくって取上げて仕舞ったのである。 「サヴォン・カ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
すか。いいえ、けっしてけっして、判りっこございませんわ」 法水は紙巻を口の中で弄びながら、むしろ残忍に見える微笑を湛えて相手を眺めていたが、 「なにも僕は、貴....
暗号音盤事件」より 著者:海野十三
い音の出るあの音叉は、侯が私たちと話をなさるときには、いつも手にして玩具のように弄びながら、ぴーんと高い音をたてられるのが例だった。しかし、あの最後の夜には、そ....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
は菓子フォークで頭を押えるとリキュール酒が銀紙へ甘い匂いを立てゝ浸み出るサワラを弄びながら言った。 ――一つは競馬が終ってしまったせいでしょうか。」 ロンシャ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
廊下では、その握られた時氷のように冷たかった、といった手で、頬にかかった鬢の毛を弄びながら、 「洲の股の御前も、山の峡の婆さまも早かったな。」というと、 「坂下....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ようともしなかった。美和子も、取りつく島がなく、マッチを卓子の上で、カタカタと、弄びながら、急に大人っぽい片頬笑いを浮べると、 「美沢さん。この間|中から、姉さ....
不周山」より 著者:井上紅梅
見た笑いであった。そこで彼女自身も、はじめて止め度なく笑った。 彼女は、それを弄びながら、なおもそれを作っては、出来たものはみんな自分の体の周囲に置いた。だが....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
霧が、漏斗のように渦巻いて行くのだ。彼は手にした「ニーベルンゲン譚詩」を、縦横に弄びながら、 「冗談じゃないね。この事件に、心理分析も検証もくそもあるもんか。あ....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
あった。 水は、涯しのない螺旋のように逆巻いて、その、顔もさだかでない、屍体を弄びはじめた。もくもくと湧き出す血が、海藻のような帯を引き、ちらりと緑色に髪の毛....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
は実に残念でならぬ、上流社会腐敗の声は、何時になったらば消えるであろうか、金銭を弄び下等の淫楽に耽るの外、被服頭髪の流行等極めて浅薄なる娯楽に目も又足らざるの観....
ある恋の話」より 著者:菊池寛
、金で自由にしたのだと云う肚がありますから、美しい玩具か何かのように愛する代りに弄び苛んだのに過ぎませんでした。その頃まだ十七の真珠のように、清浄な祖母の胸に、....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
裂いて、……畜、畜生めら。腕に巻いたり、首に掛けたり、腹巻はまだしも、股に結んで弄びなぞしていやがった。払って浄めて、あすこの祠に納めたと聞いてさえ、なぜか、扉....
活人形」より 著者:泉鏡花
き汗しっとり、斬刻まるるよりつらからめ。猛獣|犠牲を獲て直ぐには殺さず暫時これを弄びて、早|慊りけむ得三は、下枝をはたと蹴返せば、苦と仰様に僵れつつ呼吸も絶ゆげ....
婚期はずれ」より 著者:織田作之助
屋の人たちが集まってのいわば夕涼み話には、娘たちは余り立ちいらず、団扇を膝の上で弄びながらぼんやりときいているのだが、それがつつましいというより、むしろがしんた....