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「弄ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

弄ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
「火を弄《もてあそ》ぶものは、気をつけないと、――素戔嗚尊ばかりではない。火を弄ぶものは、気をつけないと――」 尊は皺《しわ》だらけな顔に苦笑を浮べて、今は....
婦系図」より 著者:泉鏡花
官が加わるのである…… さて母屋の方は、葉越に映る燈にも景気づいて、小さいのが弄ぶ花火の音、松の梢に富士より高く流星も上ったが、今は静になった。 壇の下から....
地球盗難」より 著者:海野十三
トも、まるで風に吹きとばされる羽毛のように無力であった。その無惨きわまる空中の翻弄ぶりは、塔の天井にある大きな電子望遠鏡を透して、大きなスクリーンの上にマザマザ....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
の態度が、何か夜の猛禽獣が餌を予想外にたくさん見付け、喰べるのも忘れて、しばらく弄ぶ恰好に似ていた。切られた金魚の首は電燈の光に明るく透けてルビーのように光る目....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
て、やがて朝湯から三人が戻って来ると、長いこと便所に居た熊沢も一座で、また花札を弄ぶ事になって、朝飯は鮨にして、湯豆腐でちょっと一杯、と言う。 この使のついで....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
面目にお念仏でも唱えるなら格別、「蛸とくあのく鱈。」などと愚にもつかない駄洒落を弄ぶ、と、こごとが出そうであるが、本篇に必要で、酢にするように切離せないのだから....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
せんが、声だけは、どうやらその人……いいえ、……そのものであるらしい。この手毬を弄ぶのは、確にその婦人であろう。その婦人は何となく、この空邸に姿が見えるように思....
出奔」より 著者:伊藤野枝
時半頃になってしまう。俺は飯を食うとしばらく休んで、たいてい毎晩のように三味線を弄ぶか歌沢をうたう。あるいは尺八を吹く。それから読む。そうするとたちまち十時頃に....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ん、足を此方に返して、ずッと身を大きく巌の上へ。 それを下りて、渚づたい、船を弄ぶ小児の前へ。 近づいて見れば、渠等が漕ぎ廻る親船は、その舳を波打際。朝凪の....
黒百合」より 著者:泉鏡花
始めて茶屋小屋|入をする、角力取、芸人を引張込んで雲井を吹かす、酒を飲む、骨牌を弄ぶ、爪弾を遣る、洗髪の意気な半纏着で、晩方からふいと家を出ては帰らないという風....
獄中消息」より 著者:大杉栄
しく。進※の腕白には大ぶ困らせられたようだね。人間の子を育てるのはお雛様や人形を弄ぶのとは少し訳が違う。もし足下等の女の手に自由自在になるような男の子なら、僕は....
良夜」より 著者:饗庭篁村
が、そのガタガタさその危なさ腰を馬車台に打ちて宙に跳ね上りあたかも人間を鞠にして弄ぶが如し。目は眩み腹は揉める。死なざりし事を幸いとして、東京神田万世橋の傍らへ....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
う日本の古美術品も其実三分の一は茶器である、 然るにも係らず、徒に茶器を骨董的に弄ぶものはあっても、真に茶を楽む人の少ないは実に残念でならぬ、上流社会腐敗の声は....
寡婦」より 著者:秋田滋
めにしようとしていた時である、先刻から、未婚の女でとおして来た年老いた伯母の手を弄ぶともなく弄んでいた一人の若い女が、金色の頭髪でこしらえた小さな指環にふと目を....
バットクラス」より 著者:岡本かの子
、夫人はそれ程骨を折らない。ただ、イージーゴーイングに感覚がトリックにかかるのを弄ぶだけだ。夫人の興味は直き次に移って犬のドクトルが部屋に呼び付けられた。老人の....