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「弄物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

弄物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
歌行灯」より 著者:泉鏡花
んで、構うものか、行きがけだ。 (可愛い人だな、おい、殺されても死んでも、人の玩弄物にされるな。) と言捨てに突放す。 (あれ。)と云う声がうしろへ、ぱっと吹....
婦系図」より 著者:泉鏡花
に敷かせているのがそれらしい。 机には、広げたままの新聞も幅をすれば、小児の玩弄物も乗って、大きな書棚の上には、世帯道具が置いてある。 湯は、だだっ広い、薄....
海異記」より 著者:泉鏡花
なく、すやすやと寐入っているが、可愛らしさは四辺にこぼれた、畳も、縁も、手遊、玩弄物。 犬張子が横に寝て、起上り小法師のころりと坐った、縁台に、はりもの板を斜....
化鳥」より 著者:泉鏡花
、からかいに行っては、花を持たせる、手拭を被せる、水鉄砲を浴せるという、好きな玩弄物にして、そのかわり何でもたべるものを分けてやるので、誰といって、きまって世話....
露肆」より 著者:泉鏡花
からフッと吹いて、カタリといわせる。……同じ事を、絶えず休まずに繰返して、この玩弄物を売るのであるが、玉章もなし口上もなしで、ツンとしたように黙っているので。 ....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
ろの木偶の坊。孫等に人形の土産じゃがの、や、殿。殿たち人間の人形は、私等が国の玩弄物じゃがの。 身代りになる美い婦なぞは、白衣を着せて雛にしょう。芋殻の柱で突....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
台ともなるらしかった。美妙斎や紅葉の書斎のゴタクサ書籍を積重ねた中に変梃な画や翫弄物を列べたと反して、余りに簡単過ぎていた。 風采は私の想像と余りに違わなかっ....
みちのく」より 著者:岡本かの子
手伝って四郎からそのおかしなものを取り去ってやった。 「白痴だと思ってこの子を玩弄物《おもちゃ》にするにも程がある」 すると四郎は、 「白痴だと思って――この....
オシラ神に関する二三の臆説」より 著者:喜田貞吉
まったく信仰的方面から離脱して、ただその夷像のみがいわゆる雛人形として、少女の玩弄物に遺されたのではあるまいか。その流行当時にこれを岐神といい、あるいは御霊とい....
」より 著者:黒島伝治
しかし、彼は、なべて男が美しい女を好くように、上官が男前だけで従卒をきめ、何か玩弄物のように扱うのに反感を抱かずにはいられなかった。玩弄物になってたまるもんか!....
少年時代」より 著者:幸田露伴
て頂く、これはまあ折々の一つの楽みであったのです。其他に慰みとか楽みとかいって玩弄物を買うて貰うようなことは余り無かったが、然し独楽と紙鳶とだけは大好きであった....
推理小説論」より 著者:坂口安吾
人ばかりで、無産者が殺されるというような例は少い。そこで、推理小説は有閑階級の玩弄物にすぎないなどというのは一知半解の見解で、だいたい犯罪の動機は色と慾で、貧乏....
母の上京」より 著者:坂口安吾
行くらしい話であつたが、元々歌舞伎の下ッ端の頃から幇間なみにお座敷へでて遊客の玩弄物に育つてきた。けれども同じお座敷育ちの芸者たちが日増しに荒れ果てた心に落ちる....
ろまん灯籠」より 著者:太宰治
くして、真の結婚は成立しない。ラプンツェルは、いまは、野蛮の娘ではない。ひとの玩弄物《がんろうぶつ》ではないのである。深い悲しみと、あきらめと、思いやりのこもっ....
映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
であろう。 連句はその末流の廃頽期に当たって当時のプチブルジョア的有閑階級の玩弄物となったために、そういうものとしてしか現代人の目には映らないことになった。し....