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「引き上げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引き上げの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
に、堀部弥兵衛を見た。慷慨家《こうがいか》の弥兵衛は、もとより黙っていない。 「引き上げの朝、彼奴《きゃつ》に遇《あ》った時には、唾を吐きかけても飽き足らぬと思....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
!」 僕はいつかMより五六歩あとに歩いていた。 「何だ?」 「僕等ももう東京へ引き上げようか?」 「うん、引き上げるのも悪くはないな。」 それからMは気軽そ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ことのみ多かった故か、その日の私はいつに無く疲労を覚え、夢見心地でやっと修行場へ引き上げたことでございました。 私の山の修行は随分長くつづきましたが、やがて又....
或る女」より 著者:有島武郎
処置としては、くやしくても虫を殺して、自分を葉子まで引き下げるか、葉子を自分まで引き上げるよりしかたがなかった。夫人の葉子に対する仕打ちは戸板をかえすように違っ....
或る女」より 著者:有島武郎
なれなれしく言葉をかけるその仕打ちにまで不快を感じながら、匆々《そうそう》三階に引き上げた。 それからはもうほんとうになんにもする事がなかった。ただ倉地の帰っ....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
って歩く。 それはある年の三月に、君が遭遇した苦い経験の一つだ。模範船からすぐ引き上げろという信号がかかったので、今までも気づかいながら仕事を続けていた漁船は....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
用いたこの言葉を俗衆が徹底的に歪め穢してしまった。然し今はそれが固有の意味にまで引き上げられなければならない。ベルグソンはこの言葉をその正しき意味に於て用い始め....
星座」より 著者:有島武郎
そばに来て坐った。そして遊んでいる右の手でおぬいの羽織の衣紋がぬけかけているのを引き上げながら、 「どう思うの」 ともう一度静かに尋ねた。 「快活なおもしろい....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
のであったならば、自然の変化のかような記述によって生じる満足の念は愉悦の最高度に引き上げられるであろう。渾沌の中から整然たる秩序と巧妙な系統を作り出すだけの能力....
旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
、くすりの水を二、三滴たらしておいて、その水に三どまで、お姫さまをつけて、さて、引き上げると、魔法の力がきれいにはなれて、それからは、ヨハンネスをだいじにおもう....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
。よくも苦みをおこらえなさったのね。それで、いま、大空の気息の世界へ、ごじぶんを引き上げるまでになったのですよ。あと三百年、よい行いのちからで、やがて死ぬことの....
活人形」より 著者:泉鏡花
長けたらんといと床し。 得三は人形の前に衝と進みて、どれ、ちょっと。上※の被を引き上げて、手燭を翳して打見|遣り、「むむ可々。と独言。旧のごとく被を下して、「....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
れど、どうも縁あって池の前に越して来て、鯉と隣附き合いになってみると、目の前から引き上げられて、俎で輪切りは酷い。……板前の都合もあろうし、またわがままを言うの....
思い」より 著者:伊丹万作
どが横行している、この一般文化の質の低さをこのままにしておいて、映画だけを特別に引き上げるということははたして望み得ることであろうか。 映画を今の純文学のよう....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
見つけた彼の母の、その驚き、そのうろたえ、悲しい声を絞《しぼ》って人を呼びながら引き上げたありさま、多くの姉妹らが泣き叫んで走り回ったさまが、まざまざと目に見る....