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「引き摺る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引き摺るの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
団と化して、兇暴な唸り声を立て、この樹林の中に侵入してきた。そして、その――重く引き摺るような音響に彼女は、以前遠くから聴いた落盤の響を連想した。 「ねえ、そう....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
何して登られるかと、静かに透す様にして室の中を見て居ると、一方の隅で、人の着物を引き摺る様な音がする、其の中に眼も幾分か暗さに慣れたか、其の音の方に当り薄々と寝....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
き上げたばかりか、無理無体にお福を手籠めにしてしまったんです。それから又、お福を引き摺るようにして馬道の家へ帰ったんですが、お福は驚いたのか恐ろしいのか、もう半....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
物に出ました」と、お豊は口のなかで答えた。 「そんなら二階へ案内しろ」 彼女を引き摺るようにして、せまい掛け階子をのぼってゆくと、二階の四畳半には誰もいなかっ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
く掴んだ。 「どうして怪我をしたんだか、ちょいと見せてください」 半七はかれを引き摺るようにして台所の口へ戻ると、其蝶もやはり黙って曳かれて来た。そこにある蝋....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
琴が弾き出した優雅な音色が、この沈鬱な鬼気を破ったとみえて、再び一同の耳に、あの引き摺るように重たげな音響が入ってきた。 「灯を※」熊城は吾に返ったかのごとくに....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
やら礼やらを取りまぜて、すみませんすみませんと繰り返して言いながら、無理に好子を引き摺るようにして、自分の座敷へ連れて行った。 「気が狂ったんでしょうか。」と、....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
たに殺されたことを赦しましょう」 こう言って、彼女は静かにうしろを向くと、足を引き摺るようにドアの方へ行って、たちまちに消えてしまった。ヘルマンは表のドアのあ....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
。水に激する小波烟にも、ハッと胸を躍らすのであったが、まもなく闇の彼方に、鈍い、引き摺るような音響がおこった。 艇が、グラグラと揺れ、潜望鏡には、海面から渦巻....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
、左門の部屋から、縁側の方へ這い出しつつあった。背を高く円く持ち上げ、四本の足を引き摺るように動かし、やや角ばって見える胴体を、縦に横に動かし――だから、太い、....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
、班長は走って行きながら、全身をちょうど弓のように思うさま後方へ彎曲させて、彼を引き摺る眼に見えぬ力に、抵抗するようではあるけれど、先の力が強いと見えて、見る見....
子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
さら否の応のといったところで仕方がありません。 とかく遅れ勝の六三郎を、三人は引き摺るようにして三、四町ばかり連れて行きました。町を出はずれると、暗い木のかげ....
上海」より 著者:横光利一
首は前後から女の腕に絡まれながらも、波を押しきる海獣のように強くなった。彼は女を引き摺る圧感で汗をかいた。彼は肩を泳ぐように乗り出しつつ、女の隙間をめがけて食い....
青い風呂敷包」より 著者:大倉燁子
でしょう?」 「いけない、いけない。こっちは急ぐんだから」 躊躇している彼女を引き摺るようにして連れて行った。美佐子はそれを見ていながら、引きとめることが出来....