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引き替え
「引き替え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引き替えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
が半年の学資を蔵《おさ》めたるなり。されども渠は危うかりしとも思わず、昼の暑さに
引き替えて、涼しき真夜中の幽静《しずか》なるを喜びつつ、福井の金主が待てる旅宿に....
「流線間諜」より 著者:海野十三
うとう夕飯が出るようになっても、帆村の助手の報告を聞くことが出来なかった。それに
引き替え、大学の法医学教室からは、婦人の死因について第一報が入って来た。 「婦人....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
但しこのことを余人に洩らすなよ」 「はあ」 二人は再び眼をみあわせた。ゆうべに
引き替えて、きょうはそよりとも風の吹かない日であった。散り残った花が時どきに静か....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
業に似合わない、おとなしい素直な質で、近所の人達にも可愛がられていた。 それに
引き替えて、母のおまきは近所の評判がだんだんに悪くなった。彼女は別に人から憎まれ....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
がては命をとられそうな怖ろしいきずなに手足をくくられて悶《もが》いている。それに
引き替えて、あの人たちは自由である。花野を自由自在に飛びまわる蝶や蜻蛉である。綾....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
に落ちる身なのか、わからぬ。 草の上の盃と花の乙女と長琴さえあれば、 この現物と
引き替えに天国は君にやるよ。 93 この世に永久にとどまるわれらじゃないぞ、....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
とも云い様の無い気高い様である、女王の瞋《いか》るのも此の様な者で有ろうか、夫に
引き替えお浦の仕様は何うであろう、余は両女の氏と育ちとに確かに雲泥の相違が有るの....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
ころにようやく坐り、力なげ首|悄然と己れが膝に気勢のなきたそうなる眼を注ぎ居るに
引き替え、源太郎は小狗を瞰下す猛鷲の風に臨んで千尺の巌の上に立つ風情、腹に十分の....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
くもなったに違いないのです。 声もなくうなだれて、黙々と打ち沈んだままでした。
引き替えて主水之介のほがらかさ。 「お介添、いろいろと御苦労でござった。そなたも....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
常食として好む良質の硅藻、藍藻、緑藻などが生まれぬためであろうと思う。 それに
引き替え、北山川の水を慕う鮎は、まことに立派な姿と香気とを持っているのである。河....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
示して、ボオトをランデングに附け、掛声《かけごえ》勇ましく、頭上高く差し上げたに
引き替え、日本選手は決勝線に入ると同時に、精力全く尽き、クルウ全員ぐッたりとオォ....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
袖に、コックリした茶博多の帯を締めて、純金の指環など光らせていた。持物も取り替え
引き替え、気取った物を持っていた。このごろどこそこに、こういう金時計の出物がある....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
のだ。あの女《ひと》が美しかったのは、あの女《ひと》がこのうえもなく高潔であるに
引き替え、おれは一個の卑劣漢にすぎなかったからだ。あの女《ひと》が父の犠牲《ぎせ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
えそうもなきを見、かの比丘説法して、世教は多難なる故、王は一国のみを化す、これに
引き替え、仏道は四海に弘通《ぐずう》すべく、我は四海の法王たるべき身分だから何処....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
、ごくもんに懸るかしばりて腹をいんと思えども、さんりんに隠れぬれば、にくき仕方を
引き替えて一国一命|免《ゆる》すものなり」と。かく書かせて元の所へ置かせられた(....