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「引き締め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引き締めの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
、他意のない男の顔を見ると、からだのどこかが揺《ゆす》られる気がして来て、わざと引き締めて見せた口びるのへんから思わずも笑いの影が潜み出た。 それを見ると事務....
或る女」より 著者:有島武郎
復しようのないような自分の越し方《かた》行く末が絶望的にはっきりと葉子の心を寒く引き締めていた。 それでも三人が十六畳に床を敷いて寝てだいぶたってから、横浜か....
親子」より 著者:有島武郎
から」と聞きかえした時に父のほうから思わず乗り出した気配があったが、すぐとそれを引き締めるだけの用意は欠いていなかった。 「それはこちらとしても都合のいいことで....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
の教に合致していることをやったんだが、ただ惜しいことに、後になってから「心の駒を引き締めることが出来なかった」 「女、女……」と彼は想った。 「……和尚(陽器)....
勝ずば」より 著者:岡本かの子
囲気の中に捲き込まれるのはまっぴらだと思った。多可子は下膨れのした白い丸顔を幾分引き締めて、前窓の敷居を見詰めていた。だがやっぱり心の中ではまさに萎縮しようとす....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
を帯の間へ移す。くどく無い逸作は、或るものに食欲を出しかけたような唇を、一つ強く引き締めることによって、其の欲望を制した。かの女のいたずら心が跳ね返って嬉ぶ。 ....
」より 著者:岡本かの子
体何狂というのか、と加奈子は危く笑いに曳き入れられそうな馬鹿々々しい自分の気持を引き締めながらその男をつくづく眺めた。この男は農夫に違いなかった。附添は丁度、そ....
晩春」より 著者:岡本かの子
ら体を真二つに引き裂くように感じて鈴子は思わず顔が赤くなり、幾分ゆるめていた体を引き締め、開きめの両膝をぴったりと付ける、とたんにもくもくと眼近くの堀の底から濁....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
すからそうは行きません。そうとう意志を強くして、具体的の事実の上にしっかり手綱を引き締めて行かなければ、そこが違うんでしょうねえ」 けれども、一たんむす子へ萌....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
うになっていたのか、あるいはシムラに悪魔が現われたのか、わたしは自分の馬の手綱を引き締めて、ぐるりと向きを変えると、例の人力車もやはり向きを変えて、コムバーメア....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
遠光のほかに逞しい侍が七、八人も控えていて、肉に食い入るほどに烏帽子の緒をかたく引き締めたあごをそらせて、こっちをきっと睨みつめていた。中にはその手をもう太刀の....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
ように戦き出したと思われたけれども、見る見る間に彼女の顔は、鉄のような意志の力で引き締められて行った。そして、本屋の縁を踏む頃には、呼吸も平常通りに整っていたの....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
吹き飛ばされないために、その首根っこを、また一つの手薄なタオルで、後ろからキッと引き締めて、首で結んで、あまりを長く垂らした、まるで白い兜を冠った川中島の信玄と....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
った通り、小気味の悪い悪人どもが到る所に蔓延っているわい」――油断は出来ぬと心を引き締め、松火の火を打ち振り打ち振り紋太夫は進んで行く。 奇数、偶数、奇数、偶....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
声が……聞こえましたので……」 「有難い……」と紋也は腕にこめた力で、お粂の肩を引き締めたが、「さあ一緒に! 見付けられないうちに!」 「はい」とお粂も立ち直っ....