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引伸
「引伸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引伸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
くと起き、枕を取って掻遣りながら、立膝で、じりりと寄って、肩まで捲れた寝衣の袖を
引伸ばしながら、 「もし、大分漏りますが、もし葉越さん。」 と呼んだが答えぬ。....
「春昼」より 著者:泉鏡花
い禅門が、鉄梃のような親指で、いきなり勝った方の鼻っ頭をぐいと掴んで、豪いぞ、と
引伸ばしたと思し召せ、ははははは。」 「大きな、ハックサメをすると煙草を落した。....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
に白く捻上げられて、半身の光沢のある真綿をただ、ふっくりと踵まで畳に裂いて、二条
引伸ばしたようにされている。――ずり落ちた帯の結目を、みしと踏んで、片膝を胴腹へ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
擦れ擦れになったのである。 ト境の方に立ったのが、心持|身体を開いて、頬の皺を
引伸すような声を出した。 「この人はや。」 「おいの。」 と皺枯れた返事を一人....
「栖鳳先生を憶う」より 著者:上村松園
教え方は、こうせいと言う様に、決して師匠が押し付けずに、そのものの個性と特徴とを
引伸ばすように教えられ、暗示的でその時には先生の言われた事がわからなかったが、あ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
しらえ、加藤完治さんの話にならい、甘藷の皮を植えてみる。 ◯昨夜は、初めて写真の
引伸ばしというものをする。成功した。出来てみれば成功とかなんとかいうほどのものな....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
、且つその抗議書に添えて、風間三千子が撮影した顔子狗の最期を示すフィルムの一齣を
引伸し写真にして添付した。 これなら、相手方は、ぎゃふんというだろうと思ってい....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
の彼の姿が、はっきりと撮影されているのであった。写真の中には、彼の顔をいっぱいに
引伸してうつしてあるものもあった。それを見ると、これは自分ではないということがで....
「地球要塞」より 著者:海野十三
に、乗り込んだ。 これは完全流線型というやつで、二枚貝の貝殻一つを、うんと縦に
引伸し、そして道路の上に伏せた――といったような恰好であった。むかしの人が見たら....
「富士」より 著者:岡本かの子
囲んでいる。 かがり火も張合いがなく、まもなく火勢をもとの蕊《しべ》立ちの形に
引伸し焔《ほのお》の末だけ、とよとよとよとよと呟かしている。神楽の音が聞えて来る....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
の生きる力ばかりを鞭打って飽くまでやり通そうとするのは、それはゴムの紐を最大限に
引伸して、いつまでも使えるものと思うのと同じことです。私たち凡人はいつかのび切っ....
「わが町」より 著者:織田作之助
てやってるけど――そうそう、お君ちゃん、あんたの今の写真、なんやったら僕が味善う
引伸したげよか、それ大分剥げてるから……」 「おおけに、でも、そんなことして貰た....
「わが町」より 著者:織田作之助
次郎に会うのだ。次郎は写真に凝っていて、今夜じゅうにあのマラソン競争の記念写真を
引伸して持って来てやると約束したと、いそいそと下駄をはいているところへ、お渡御が....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
たしなみの一つに、物を誇張して人に伝えることがあった。学校で生じた些細なことを、
引伸しくりひろげて家の人達に話す。父や母は面白く或いは悲しげにそれをきく。自分の....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
集」の尨大な広告を見出したとき、これも古い酒店さがみやの飾り窓に映画女優の写真の
引伸しの飾られてあるのを見出したとき、そうして本願寺の、震災後まだかたちだけしか....