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「引火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引火の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
う。また三千ボルトの高圧線切断し、そのスパークが、瓦斯管の破損個所から出る瓦斯に引火して燃え出した。 伊東君の家の南側ガラス(爆弾は南側におちた)は全部こわれ....
函館の大火について」より 著者:寺田寅彦
ガソリンが地上にこぼれたときいかなる気象条件のもとにいかなる方向にいかなる距離で引火の危険率が何プロセントであるかというようなことすらだれもまだ知らないことであ....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
事の原因は何であろうか。 新聞記事には“原因は目下取調中であるが、ガソリン樽が引火爆発したのではないかとの説もある” (ガソリンの樽――そんなものはない。ガソ....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
連の朝の手水にも、砂利を含んで、じりりとする。 羽目も天井も乾いて燥いで、煤の引火奴に礫が飛ぶと、そのままチリチリと火の粉になって燃出しそうな物騒さ。下町、山....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
と。天地も崩れんばかりの大爆音とともに……。ああ、かすかに洩れていた油層のガスに引火したのだ。 やがて、雪崩れる音が止むと、死のような静寂。折竹は、ほっとして....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
れば、酒乱が、すんなりと通過してしまうことがある。それが眠りそびれた時に、何かの引火薬でもあろうものなら、それこそ大変である。 主膳としては、近頃の酒量であっ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
上に太陽が焼け、下には赤い敷石が焼けて、私の感覚も、「すぺいん」を吸収して今にも引火しそうだ。 太陽・紺碧――闘牛日! 歌って来る一団の青年。 声が街上の....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
ってある捩巻煙草が一本と、曲った柄の附いた|大形ナイフと、懐中羅針儀と、それから引火奴箱、これだけが入っているだけだったので、私は絶望し始めた。 「じゃ多分頸の....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
もなく、口から口へ、熱海全市を走っていた。 しかし、そもそもの発火がガソリンの引火であり、つづいてドラムカンに引火して爆発を起し、発火と同時に猛烈な火勢で燃え....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
の座席の下にある小さな箱を検べてみた。その中には二三の鍛冶道具と、火把が一対と、引火奴箱が一つ入っていた。それだけすっかり備えておいたのは、折々起ったことである....
前妻の怪異」より 著者:田中貢太郎
ろで、低く釣してあった洋灯を頭で突きあげた。洋灯はひっくりかえるとともに、石油に引火して四辺が火になった。二人はあわてて手あたりしだいに、座蒲団や衣服で敲いたが....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
のようにあとから馳け出して来る。炭塊に燃移った焔は、捲き起された炭塵の群に次々に引火して火勢はみるみる急となった。お品は背後に続く男の乱れた跫音と、目の前の地上....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
はただ茫然とそれを見つめて立っていた。火勢はいよいよ猛烈で、ついにフィルム倉庫に引火したとみえ、どす黒い煙と炎とがどっと吹き出し、どうどうと炎が鳴り始めた。私は....
母子像」より 著者:久生十蘭
った。厨房ストーヴに使う新式のケロシン油は、いきなり火になるむかしの石油のような引火性がなく、じれったいような緩慢な燃えかたをするものだということを、太郎は知ら....