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「引締〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引締の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
の進展、ソ連スターリン首相の死、マレンコフ新首相の就任と動く中にも、世界は一種の引締って行く姿を見るのであります。世界人類には、依然として平和か戦争かということ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
の皺で、短く一分刈かと見える頭は、坊さんのようで、福々しく耳の押立って大いのに、引締った口が窪んで、大きく見えるまで、げっそりと頬の肉が落ちている。 (夫人。)....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
泣き杖だ――大跨に歩いて来た。この一|刹那に阿Qは打たれるような気がして、筋骨を引締め肩を聳かして待っていると果して ピシャリ。 確かに自分の頭に違いない。....
俘囚」より 著者:海野十三
愛する君に伝える。――僕は夜のうちに、あの隆々《りゅうりゅう》たる鼻と、キリリと引締っていた唇と(自分のものを褒《ほ》めることを嗤《わら》わないで呉れ、これが本....
丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
願いを持出すから、決して油断は出来ぬという。それを胸に貯えているので、警戒を一層引締て掛ったのだ。 今度の巡検使は、厳しいか、緩やかなのか、領内の者が脈を引い....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
真ッ直ぐに行った」 ぶっきら棒な返事だった。 「間違いないな?」 係長の声が引締った。岩太郎は、黙ったまま小さく頷いた。 「よし」係長は傍らの小頭の方へ向直....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
屋の電話室へ駈け込んで行った。 現場から警察へ、警察から市内の各交番へ……急に引締った緊張が眼苦しく電話線を飛び交わして、赤沢脳病院の仮捜査本部は色めき立って....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
思い出して居た。 と、何処か見当の付かぬ処で、大きなおならの音がした。かの女の引締まって居た気持を、急に飄々とさせるような空漠とした音であった。 ――パパ、....
河明り」より 著者:岡本かの子
も思ったが、私はまたしてもこの家の人事に巻き込まれる危険を感じたので、無理に気を引締めて、もっと追求したい気持ちは様子に現わさなかった。 こうして親しげに話し....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
な唇が生き生きとついていた。胸から肩へ女になりかけの豊麗な肉付きが盛り上り手足は引締ってのびのびと伸びていた。真佐子は淑女らしく胸を反らしたまま軽く目礼した。復....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
も身上の持ち直しは覚束ないですねえ。事業というものは片っぽうで先走った思い付きを引締めて、片っぽうはひとところへ噛り付きたがる不精な考えを時勢に遅れないように掻....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
っかり酔って居る。そしてまたなにか新吉にしつこく云い絡まろうとして、真青な顔色を引締めてジャネットを見詰めて居る新吉の様子に気が付くと黙ってしまった。 新吉が....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
の垣外を通る話声にもそのようなことを話し合っている。慧鶴は油断はすまいと弛む心を引締めているつもりでも、どことなく、やれ安心、早く災難から脱れ度いという気持が湧....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
ぽっかり新しく泛んだ。 「あっ、一郎」 かの女は危く叫びそうになって、屹と心を引締めると、身体の中で全神経が酢を浴びたような気持がした。次に咽喉の辺から下頬が....
」より 著者:岡本綺堂
まだ十六、七で、色こそ浜風に黒ずんでいるが、眉は濃く、眼は大きく、口もとはきっと引締まって、これに文金島田の鬘をきせたらば、然るべき武家のお嬢さまの身代り首にも....