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「弛める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

弛めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
余は此の事を先ず暫くは叔父の耳へ入れずに置く積りで有ったけれど、今は叔父の心配を弛める事に事細《ことこまか》に語って了った、叔父は安堵の胸を撫で「本統に天の裁判....
旅愁」より 著者:横光利一
真を眺めた。彼だけはまだ外套も脱がず悠悠と煙草に火を点けると、首を緊めすぎた襟を弛める風に頭を廻して矢代に一寸笑った。見ていると、侯爵と由吉は実に呼吸の合った粋....
赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
たものでした。 そうして本当に其決闘は私の勝に帰しました。――ハッと私が気息を弛める。そこを狙って突いて来た。と直ぐ除けて入身になる。一髪の間に束を廻わし、「....
人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
帰して、間違いがないであろう。幼児のかよわい生命は、たとえ数時間といえども注意を弛めることを許さないのである。 かゆい所へ手の届くように経営されている(それは....
魔都」より 著者:久生十蘭
なるというわけではない、かりに皇帝を返してよこしたって、一旦僕が襟首に掛けた手を弛めるなんてことはありやしない。かりに相手が警視総監であろうと、神であろうと」 ....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
私はこんどでいかに私が自らを意志をもって支持しているのかを知りました。その意志を弛める時私はかなしみに敗けてしまうのです。私はどうしても自分の運命を淋しい、かな....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ながら、洋刃を逆にして背後を払うと、切先は忠一が右の臂を擦った。これで思わず手を弛める隙を見て、彼は一足|踏込んで当の仇の市郎に突いて蒐ると、対手は早くも跳ね起....
食道楽」より 著者:村井弦斎
帯を弛《ゆる》める。先刻《さっき》から帯が腹へ喰い込んで痛くって堪まらない。帯を弛めるとまた二、三杯は食べられる」主人「驚いたね、腹の皮はゴム製に違いないが君の....
食道楽」より 著者:村井弦斎
六日位で弛みますけれども夏は一両日置いても弛むより早く腐ります。腐らせないように弛めるのが料理人の一番苦心する処で、殊《こと》にロースを焼く時は一番その弛ませ加....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
信じられなかった。太刀を構えていた手も、張りつめていた気も、茫然とはなりながら、弛めることができなかった。 (――何で? 彼ら同士が) まったく判断がつかない....