»
張り出
「張り出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
張り出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「死後」より 著者:芥川竜之介
はやっと一間か九尺しかなかった。それへまたどの家も同じようにカアキイ色の日除けを
張り出していた。
「君が死ぬとは思わなかった。」
Sは扇を使いながら、こう僕に....
「少年」より 著者:芥川竜之介
りに煙《けむ》った海の何か妙にもの悲しい神秘を感じさせたのは事実である。彼は海へ
張り出した葭簾張《よしずば》りの茶屋の手すりにいつまでも海を眺めつづけた。海は白....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ある日、新蔵はあの界隈《かいわい》に呉服屋を出している、商業学校時代の友だちを引
張り出して、一しょに与兵衛鮨《よべえずし》へ行ったのだそうですが、そこで一杯やっ....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
。真暗で妙なにおいだけが鼻につく営倉の中で落付けるわけがない。翌日の夜練兵場に引
張り出されたときはもうだめかと思った。しかし係官が住所、姓名を聞いただけで、また....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
るものは、徒らに宗派的論争の用具と化し、古経典は、空しく各自の気に入った武器を引
張り出す為めの、兵器庫の観を呈して了った。 兎に角そうした手続で出来上った所謂....
「或る女」より 著者:有島武郎
案内し、廊下を通った突き当たりにある思いのほか手広い台所、風呂場《ふろば》を経て
張り出しになっている六畳と四畳半(そこがこの家を建てた主人の居間となっていたらし....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
は不愍《ふびん》さから今まで馬を生かして置いたのを後悔した。彼れは雪の中に馬を引
張り出した。老いぼれたようになった馬はなつかしげに主人の手に鼻先きを持って行った....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
り勝手過ぎるようでもじもじしていますと、ジムはいそいそとぶら下げている僕の手を引
張り出して堅く握ってくれました。僕はもうなんといってこの嬉《うれ》しさを表せばい....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
だ。室だけならまだ可いが、食事の時間になったらボーイを寄こしてとうとう食堂まで引
張り出された。あんなに不愉快な飯を食ったことはない。 B それは三等の切符を持っ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
力が必要なくなるであろう。地上作戦の場合は無数の兵員を得るため国民皆兵で誰でも引
張り出したのであるが、今後の戦争では特にこれに適した少数の人々が義勇兵として採用....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ょげて、笑って、すぱすぱ。 三十八 「……また何も、ここへ友達を引
張り出して、それに託けるのは卑怯ですが、二月ばかり前でした。あなたなぞの前では、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。」 「じゃ……ないけども、これから、この早瀬さんと一議論して、何でも慈善会へ引
張り出すんですから手間が取れてよ。」 とまだ坐りもせぬ。 主税は腕組をしなが....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
しかね。」 「ははあ、幾ら俺が手下を廻すとって、まさかそれほどの事では交番へも引
張り出せないで、一名制服を着けて、洋刀を佩びた奴を従えて店前へ喚き込んだ。」 「....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
思やあお嬢さんと御病人きり。蔵人は忠義だって、羽ばたきをするばかり、袖を啣えて引
張り出す方角もあるまいと思いますとね。矢も楯も堪りませんや。さも貴女と御新造さん....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
り、任地へ行くようにという相談をしたが不可なくって、とうとう新潟くんだりまで、引
張り出されたがね。どういうものか、嫌で、嫌で、片時も居たたまらなくッてよ。金沢へ....