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張り出す
「張り出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
張り出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
るものは、徒らに宗派的論争の用具と化し、古経典は、空しく各自の気に入った武器を引
張り出す為めの、兵器庫の観を呈して了った。 兎に角そうした手続で出来上った所謂....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。」 「じゃ……ないけども、これから、この早瀬さんと一議論して、何でも慈善会へ引
張り出すんですから手間が取れてよ。」 とまだ坐りもせぬ。 主税は腕組をしなが....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
思やあお嬢さんと御病人きり。蔵人は忠義だって、羽ばたきをするばかり、袖を啣えて引
張り出す方角もあるまいと思いますとね。矢も楯も堪りませんや。さも貴女と御新造さん....
「キド効果」より 著者:海野十三
博士は遂に折れて、丘助手の望みを叶えて呉れた。 丘助手は、監禁室から犬塚を引
張り出すと、実験室の台上に引据えた。そして其の身体の直ぐ近くに装置を搬ぶと、複雑....
「赤外線男」より 著者:海野十三
を取り出して、ゴルフでもやりそうな扮装になった。 しかし別にクラブ・バッグを引
張り出すわけでもなく、細い節竹のステッキを軽く手にもつと、外へ飛び出した。忌わし....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
、そこで言葉を切って、机の引出しをあけた。そして、箱の中から、チューインガムを引
張り出すと、それを口の中に放りこんで、にちゃにちゃやりだした。 「長官、ゴールド....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
ある影――、それは宮本夫人の妖艶な姿であった。 小田切大使の自殺に宮本夫人を引
張り出すのはちょっと可笑しいが、私の頭の隅に、二十年前の記憶が今なお残っていたか....
「越年」より 著者:岡本かの子
」 明子は言い訳をした。 「わたしもそうよ。正月早々からあんたをこんなことに引
張り出すなんか、いけないと思ってたの。でもね、正月だし、たまにはそんな気持ちばか....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
であります。自分の普通の力、工夫努力が多ければ多いほど、飽くまで生き抜く力を引っ
張り出すのに、それだけ余計に沢山の力を利用することが出来るのです。 かくて、ひ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
らいなもので、貴婦人連も自分たちの衣裳の着くずれを直すために舞踏室から彼女を引っ
張り出す時ででもなければ、彼女の腕に手をかけるようなことはなかった。したがって、....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
たろう? ただもう血塗になってシャチコばっているのであるが、此様な男を戦場へ引
張り出すとは、運命の神も聞えぬ。一体何者だろう? 俺のように年寄った母親が有うも....
「審判」より 著者:カフカフランツ
いろうとすると、誰か私の脚をつねるやつがある。私はベッドの下をのぞいて、一人引っ
張り出すっていうようなわけです。どうして私のところにこう押しかけるのか、私にはわ....
「狂馬」より 著者:佐左木俊郎
の頭から、何か冠せなくちゃ、駄目だよ。何十年も坑内にいた馬を、明るいところに引っ
張り出すと、すぐ死んでしまうんだっていうからなあ。」 古参の坑夫が注意した。若....
「決闘」より 著者:神西清
君を相手に利口な口が利いて見たかっただけの話だ。それを君は、仰々しい結論まで引っ
張り出す。君はあの亭主になにか癪に障ることがあるので、あの婦人まで道づれにしちま....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
いつも室の片隅から客に応対することしか知らない「女」を、大勢の群集のまんなかに引
張り出すと、「女」は自分の背後を気にして、しきりと帯の結び目のあたりを撫まわした....