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張出し
「張出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
張出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
からね、君から断ってくれたまえ。」 と真面目で云って、衣兜から手巾をそそくさ引
張出し、口を拭いて、 「どうせ東京の魚だもの、誰のを買ったって新鮮いのは無い。た....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
薄ら蒼い、ぶよぶよとした取留の無い影が透く。 三 大方はそれが、
張出し幕の縫目を漏れて茫と座敷へ映るのであろう……と思う。欄干下の廂と擦れ擦れな....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
実は小春日の明い街道から、衝と入ったのでは、人顔も容子も何も分らない。縁を広く、
張出しを深く取った、古風で落着いただけに、十畳へ敷詰めた絨毯の模様も、谷へ落葉を....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
、江の浦までは、大分前に通じましたが、口野からこちら……」 自動車は、既に海に
張出した石の欄干を、幾処か、折曲り折曲りして通っていた。 「三津を長岡へ通じまし....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
のんびりとしたものだ。口上が嬉しかったが、これから漫歩というのに、こぶ巻は困る。
張出しの駄菓子に並んで、笊に柿が並べてある。これなら袂にも入ろう。「あり候」に挨....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
んなら、妻を――人の見る前、夫が力ずくでは見っともない。貴方、連出して下さい、引
張出して下さい、願います。僕を、他人だなんて僕を、……妻は発狂しました。」 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
―三日目に、仕入の約二十倍に売れたという 味をしめて、古本を買込むので、床板を
張出して、貸本のほかに、その商をはじめたのはいいとして、手馴れぬ事の悲しさは、花....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
両側に木造の低い家がならんで、道には馬糞の繊維が真昼のファンタジイを踊り、二階の
張出しでは若い女が揺り椅子に腰かけて編物をしていた。そして――いまどき若い女が神....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
れへ出ろ」 男「どうぞ御免なすって」 と手を突いて詫入るを、武士は無理無体に引
張出して廊下へ出る。田舎者は、 田「御免下さい/\、御免さないほーい/\ほーい/....
「露肆」より 著者:泉鏡花
きたとも言わず、黙って溝のふちに凍り着く見窄らしげな可哀なのもあれば、常店らしく
張出した三方へ、絹二子の赤大名、鼠の子持縞という男物の袷羽織。ここらは甲斐絹裏を....
「光は影を」より 著者:岸田国士
「あゝ」なのか。彼女の顔が、かつて、のぞき、彼女の影が、かつて、映つていた二階の
張出し窓は、雨戸が固く閉じられ、やがて朝日の射すであろう白々とした障子さえ、今は....
「決闘」より 著者:神西清
へ行く。往来に立って、開けはなした窓ごしに覗いているのは年若な同僚の一人で、窓の
張出しに役所の書類を拡げている。 「今すぐ。」優しくラエーフスキイは言って、イン....
「食堂」より 著者:島崎藤村
、広瀬さんにも逢い、お力の亭主の金太郎にも逢った。その休茶屋は、日除を軒の高さに
張出してあるところから腰掛台なぞを置いてあるところまで、見附きこそ元のかたちとあ....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
直ぐにあとをつけて行くつもりだっけ、例の臆病だから叶わねえ、不性をいうお前を、引
張出して、夢にも二人づれよ。」 「やれやれ御苦労千万。」 「それから戸外へ出ると....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
もしないであろうが、飯蛸なぞもそうである……栄螺、黄螺、生の馬刀貝などというと、
張出した軒並を引込んで、異に薄暗い軒下の穴から、こう覗く。客も覗く。…… つま....