»
張合
「張合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
張合の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
た。あの時のことを今思うと、少からず恐縮する。
涙のかわいたのちには、なんだか
張合《はりあい》ない疲労ばかりが残った。会葬者の名刺を束にする。弔電や宿所書きを....
「老年」より 著者:芥川竜之介
わりめ毎に覗き覗きした芝居も、成田屋《なりたや》や五代目がなくなってからは、行く
張合《はりあい》がなくなったのであろう。今も、黄いろい秩父の対《つい》の着物に茶....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
娘の良人なりと訪ねさせていただき度うございます。そうすれば修行をするにも何んなに
張合いがあることでございましょう……。』 『イヤそれはもうしばらく待ってもらいた....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
どで受けるでござりますよ。」 と搦手を明けて落ちよというなり。 けれども何の
張合もなかった、客は別に騒ぎもせず、さればって聞棄てにもせず、何の機会もないのに....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を、両人には気が付かずに居るのである。 と河野は自分には勢のない、聞くものには
張合のない口吻で、 「だが、母さんが、」 「母様が何だ。母様が娶うんじゃあるまい....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
この方、総入歯で、若い娘の仮声だちね。いえさ、したが何となく返事をしそうで、大に
張合が着きましたよ。」 「その気で一つ伸しましょうよ。」 三人この処で、声を揃....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
て、裡の面白さが思遣られる。 うかうかと入って見ると、こはいかに、と驚くにさえ
張合も何にもない。表飾りの景気から推せば、場内の広さも、一軒隣のアラビヤ式と銘打....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
しましょうか。」 「ああ、」とばかりで、これも一向に取合わないので、小間使は誠に
張合がなく、 「それでは、」といって我ながら訳も解らず、あやふやに立とうとする。....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ス声を渋くかすめて、一つしゃくって、頬被りから突出す頤に凄味を見せた。が、一向に
張合なし……対手は待てと云われたまま、破れた暖簾に、ソヨとの風も無いように、ぶら....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ら見えます人も、秋のだと、しっかりして、てんでんが景色の寂しさに負けないように、
張合を持っているんでしょう。見た処でも、しょんぼりした脚にも気が入っているようで....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
かしいのは。…… (――お絹さん、その手提袋ですがね、中味が緊張しておりません、
張合のないせいか、紐が自から、だらりとして、下駄のさきとすれすれに袋が伸びていた....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
、」とつい通の人のただ口さきを合せる一応の挨拶のごときものではない。 婆さんも
張合のあることと思入った形で、 「折入って旦那様に聞いてやって頂きたいので、委し....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ある、女中の夜延とを見て、密とまた閉めて、ずかずかと階子を上ると、障子が閉って、
張合の無さは、燈にその人の影が見えない。 で、嘘だと思った。 ここで、トボン....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
ようにして見せよう。そうすりゃ素人目にも快くおなんなすった解りが早くッて、結句|
張合があると思ったんですが、もうお医者様へいらっしゃることが出来たのはその日ッき....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
て、 「どうした。」 と小声で言った。 「まだ、お寝ってです。」 起きるのに
張合がなくて、細君の、まだ裸体で柏餅に包まっているのを、そう言うと、主人はちょっ....