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「張合い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

張合いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
方を続けている。水のいろをかがり火のまわりに浸して静に囲んでいる。 かがり火も張合いがなく、まもなく火勢をもとの蕊《しべ》立ちの形に引伸し焔《ほのお》の末だけ....
特許多腕人間方式」より 著者:海野十三
がけの商売であるとは、このときにはじめて気がついた。しかしそれだけ、この商売に、張合いがあるわけである。 「どうぞ、もうご安心なすって、発明の内容を……」 「あ....
」より 著者:岡本かの子
ってその子を父親が台なしにして仕舞ったと怒る。その必死な母親の怒りに対して父親は張合いもなくうす苦く黙笑してばかりいる。家が傾く鬱積を、こういう夫婦争いで両親は....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
て、じりじりと膝を寄せると、千倉ヶ沖の海坊主、花和尚の大きな影が幕をはびこるのを張合いにして、がんばり入道、ずばい坊、鬼火、怪火、陰火の数々。月夜の白張、宙釣り....
河明り」より 著者:岡本かの子
と私は云った。 すると、娘ははじめて自分の知識が真味に私を悦ばせるらしいのに、張合いを感じたらしく、口を継いで語った。 「隅田川から芝浜へかけて昔から流れ込ん....
雛妓」より 著者:岡本かの子
は答えた。「違う。僕は人生が寂しくって、こんな楽書みたいなものの外、スケッチする張合いもないのです」わたくしは訊ね返した「おとうさんはどうしてらっしゃるの。おか....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
であった。それが、こうして何のこともなくコトコト馬車を走らしているとなると、少々張合いぬけの感じがしないでもない。 「フランス租界へ。」 御者にはただこう言っ....
人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
縁を考えると、わしとて、譲らんでもないが、しかしあのように敗けてばかりいるのでは張合いがない。――で、当時、醤の奴は、どこにいるのか。重慶か、成都か、それとも昆....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
てくれれば、作者も張合があるのであるが、当の博士は、別に愕きもなにもしない。甚だ張合いのない次第であった。 愕くどころか、博士は、矢庭に手をのばして、その大蜘....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
元気と常識とを取り戻した彼は、勇躍して、その仕事についた。また新たに、生きている張合いといったものが感じはじめられた。彼は、ふしぎに自分の体が、軽くなったように....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
娘の良人なりと訪ねさせていただき度うございます。そうすれば修行をするにも何んなに張合いがあることでございましょう……。』 『イヤそれはもうしばらく待ってもらいた....
バットクラス」より 著者:岡本かの子
は後妻だ。彼女が前に経験した初婚の年齢の均衡の取れた夫婦関係では夫が青臭く匂って張合いが持てなかったが、今の「若く美しき後妻」の位置とても彼女を緊張させは仕無い....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
のほか ――全くさ、幇間と来たら、こりゃ論外でさ」 と、超然とする。国太郎は張合い抜けがして魯八のしょげた男をいたわってやらなくちゃならない気に急き立てられ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
誤解された時くらい、世にも果ない気持ちはありません。心の底から腐って、生きる力も張合いもなくなるのであります。しかし、そのときです。真に奮い立って起き上るのは。....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
験は、後年私が段ボール創業の際、非常に役立った。しかし店に活気がないので働く私の張合いも抜ける。第一、ボール板紙の出し入れは肩が痛くとてもつらい。間もなくいや気....