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弾く
「弾く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弾くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
れから日の暮までが、待遠しいの、待遠しくないのじゃありません。算盤《そろばん》を
弾く。帳合いを手伝う。中元の進物の差図《さしず》をする。――その合間には、じれっ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と美しく流眄に見返った時、危なく手がふるえていた。小刀の尖が、夢のごとく、元結を
弾くと、ゆらゆらと下った髪を、お妙が、はらりと掉ったので、颯と流れた薄雲の乱るる....
「妖術」より 著者:泉鏡花
な心持ちで、電車を下りると、大粒ではないが、引包むように細かく降懸る雨を、中折で
弾く精もない。 鼠の鍔をぐったりとしながら、我慢に、吾妻橋の方も、本願寺の方も....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
って、坊主頭を、がく、と俯向けて唄うので、頸を抽いた転軫に掛る手つきは、鬼が角を
弾くと言わば厳めしい、むしろ黒猫が居て顔を洗うというのに適する。 ――なから舞い....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
座敷で、客も大勢らしい、四五人の、芸妓の、いろいろな声に、客のがまじって、唄う、
弾く、踊っていた。 船の舳の出たように、もう一座敷|重って、そこにも三味線の音....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
に博多節を弾いたのは、転進をやや縦に、三味線の手を緩めると、撥を逆手に、その柄で
弾くようにして、仄のりと、薄赤い、其屋の板障子をすらりと開けた。 「ご免なさいよ....
「女客」より 著者:泉鏡花
三 「確か六七人もあったでしょう。」 お民は聞いて、火鉢のふちに、算盤を
弾くように、指を反らして、 「謹さん、もっとですよ。八月十日の新聞までに、八人だ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
「そうかね、……はてね。……トオカミ、エミタメはどんなものだ。」と字は孔明、琴を
弾く。 八 「で、その初会の晩なぞは、見得に技師だって言いました。....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
しらいかねた顔色で、家主は不承々々に中山高の庇を、堅いから、こつんこつんこつんと
弾く。 「解りました、何、そのくらいな事を。いやさ、しかし、早い話が、お前さん、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
言って見ろ、「知ってるよ。」といって喧嘩になりか、嘘にもしろ。」とその髑髏を指で
弾く。 「いや、その喧嘩がしたかった。実は、取組合いたいくらいなものだった。「ち....
「橋」より 著者:池谷信三郎
ら突き落されて、一枚の熊の毛皮のように圧しつぶされてしまった、あのヴァイオリンを
弾く銀行家の息子ではなかった。また、彼女のために、殺人まで犯した男の純情でもなか....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
は爪弾の、忍ぶ恋路の音を立つれど、夫は学校の教授たる、職務上の遠慮ありとて、公に
弾くことを禁じたれば、留守の間を見計らい、細棹の塵を払いて、慎ましげに音〆をなす....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
戸引開けて、衝と入りざま、沓脱に立ちて我が名を慌しく呼びたるは、隣家なる広岡の琴
弾くかの美しき君なり。 「あれ。」とばかりに後にすさりて、後ざまにまたその手を格....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
治座へ行こうという麺麭屋の物置の前に、常店で今でも出ていまさ、盲目の女の三味線を
弾くのがあります。投銭にはちゃちゃらかちゃん頤を撫でて、 「悪くない、うむ、そう....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
力とともにまたその父親の朗らかな性質を承けている。娘はベートーヴェン作の奏鳴曲を
弾くことを何より好んでいる。これは確かに習い覚えたというよりも生まれ付きのことだ....